店長の同棲相手と付き合ってしまいました
湯川亜美さん(大阪府)
エピソード:
ライブハウスのスタッフをしていました。
ある日、同僚のM君から「亜美のことが恋愛対象として気になる」と言われました。M君はライブハウスの女性店長の彼氏で、彼女とは3年以上同棲中。
気になる相手でしたが、職場なので、女性店長とM君のいる場で「他の男の子と付き合うことになった」と嘘の報告をして逃げました。
なのに、ある休日に呼び出されてから職場の外でM君と会うようになり、1ヶ月後には「優先されるのは誰かをわかった上で2番目の存在でいいなら」という約束で付き合うことに。
そしてすぐに女性店長にバレました。ラブホテルから帰宅した直後に彼女から問い詰められ、白状したそうです。
店長からは「友達だと思ってたのに裏切られるなんてひどい。店では普通にしてください」とだけメールが来て、話し合いは拒否。残りの1ヶ月は仕事の確認事項すら話してもらえませんでした。
事情を知らないスタッフから「なんで店長とケンカしてるの?」と何度も聞かれ、困りました。
M君とはバイトを辞めてからも半年ほどで、つまらないきっかけで別れました。
M君と店長が今でも付き合っているかはわかりません。
約束はしないでおこう最後まで 守れないから君も私も(湯川亜美)
とても詳細で長い告白をいただいたのですが、ばっさりリライトいたしました。これでも十分にこじれ具合は伝わりますね。
知り合い同志のカップルに手を出したり出されたりするのは、修羅の道のはじまり。僕も経験ありますが、関係するほとんど全員にその場しのぎの嘘をつくことになるので、心の健康がむしばまれます。そして何が自分のほんとうの気持ちなのか、自分でもわからなくなってくるんです。自業自得とはいえ、つらい。
彼も自白してほっとしたかったんだろうなあ、と推察します。
こういう呪われた恋愛は「関係が終わったらすっきり怨霊退散」とはいきません。自分のほんとうの気持ちと対話する力がごっそり失われるからです。おっと、本音が出せなくなっている呪いが、短歌にもはっきり現れていますよ。
短歌は、本音を素直にぶつければいい作品になるというものではないのですが、自分を見つめていない歌はおもしろくならないことが多いんです。たぶん、どこかから借りてきた言葉で自分の気持ちを塗り替えてしまうからでしょう。人に合わせてとりつくろってついてしまう嘘のように。
(あまり人のことは言えません。実は、ひと月ほどお休みをいただいたのは、僕自身が何を書いてもとりつくろったような上辺だけの言葉になってしまう状態になっていたからでした。不徳のいたすところです。申し訳ない)
借り物の言葉は、あくまで借り物。嘘をついたっていいけれど、できるだけ自分の言葉で嘘をつくように、他人の望みに合わせた嘘はつかないように気をつけておくと、きっといつか、恋愛の怨霊を祓えるような言葉が見つかると思いますよ。
うらぎりの裏に義理などないけれど裏を見ますか? うらみませんか?