結局、告白しませんでした
みわさん(東京都)
エピソード:
高校の頃、同級生のことが好きでした。
彼は毎日、朝早くに学校に来る人だったので、私も毎日早起きして、その人が来る10分前に教室に来ていました。
結局、朝に教室で少し話すだけで、告白はできないまま卒業しました。
君が来ると知ってたから一番に来てた教室 誰も知らない(みわ)
結局、告白されませんでした
くまりんごさん(宮崎県)
エピソード:
「もしかして両思いなのかも……」と心の中だけで信じていた人がいました。
卒業まぎわのある日の放課後、卒業アルバムのメッセージをみんなで書いていたら、たまたま二人っきりになる時間がありました。そして「あ、告白されるかも」という雰囲気に。
でも、別の男子が私のことを呼びに教室に入ってきて、結局、そのまま何もありませんでした。
本当は好きだったでしょ 教室にあいつが来なきゃ付き合ってたでしょ(くまりんご)
短歌の表記、マスあけなど、少し変えました。ご了承を。
どちらも、見事に、何も起きてない。起きてないんだけど、なんてリアルで繊細な恋なんだ。
恋の99%は、告白されずに終わるのだと思います。生きていると、意識の下でたくさんの小さな恋心が生まれ、理性がそれを却下するというルーティーンを繰り返すものです。笑顔でお釣りをくれたコンビニの女の子や、満員電車でちょっとだけふんばって自分を守ってくれる紳士に、ちょっとずつ恋をしては、ちょっとずつ却下している。
もちろん、僕たちが生きているのは学校のように誰彼かまわず恋をしても許される世界ではないので、仕方ないのだけれど。教室内で二人きりで何かが起きそうで起きないどきどきした時間、また味わってみたくなります。
みわさんの短歌は「知っていたから」にしたほうが音数が合うかも。「誰も知らない」は人に届けるにはちょっと意味が飛びすぎで、再考の余地がありそうです。
くまりんごさんの短歌は「付き合ったでしょ」のほうがリズムが整いそう。
僕も、昔を思い出して、何も起きない短歌をお返しにおいておきます。
遅刻する君にぶつかるちょうどいい曲がり角さえあれば今ごろ