パティシエの彼に材料まで指定されて……

計量オーバーさん(埼玉県)
エピソード:
 同い年のパティシエと付き合って初めてのバレンタイン。
「なに食べたい?」と尋ねると、「◯◯社のクーベルチュールチョコの、カカオ分△%のやつと◻%のやつを6:4の配合で…」と材料指定から始まりました。
 それなら彼が作ったほうが早い気がしましたが、指定どおりに材料を買い揃え、作りました。
 バレンタイン当日、チョコを手渡す時のドキドキは彼氏へのそれではなく、採用試験の面接官へのものでした。
 その後も彼氏にはバジルペーストを買ったのを見咎められて「不精しやがって」と言われるなど、とにかく食事のことで人格否定が続いたので別れました。
 あれから8年たった今も、◯◯社のチョコを見ると苦々しい気持ちになります。チョコは本当においしいんですけど……。

分量外塗ったバターで反逆す酸いも甘いもご指定の愛(計量オーバーさん)

 おお、怖い。このコーナーの投稿の特徴として「終盤にさらりと書かれた一行が看過できないレベルに怖い」というのがあります。このケースでは「バジルペースト」のくだり。

(バックナンバーでもあえてツッコミを入れずに残していることが多いので、よければさかのぼって「唐突な怖い一行」をお楽しみください。)

 こういうのは怒鳴られ続けたほうはトラウマになりますよね。こういう風にきつくあたってしまうのは、「恋人といえども他人は他人」という割り切りができず、「彼女の失敗を自分の失敗のように感じてしまう」パターンが多いのだと思います。

 お母さんが子どものミスを我が事のように感じてしまい「なんでこんなこともできないの!」と叱ってしまうのとだいたい似た感覚なんじゃないかと。

 本人は「正しいしつけ」だと思い込んでるから人格否定をしている自覚がなく、たちが悪い。たぶん彼らの言い分を聞いてみると「それが相手の未来にとってプラスなことだから言っている」と答えると思います。

 ま、要するに余裕がない人なので、受け流し力を身につけて長期計画で彼らの「しつけ」にチャレンジするか、そんな面倒なことをせずとっとと離れるか、どちらかが正解だと思います。言葉通りに真に受けてがんばってもあんまり報われない愛です、きっと。

元彼の記憶が隠し味になり苦さばかりが味わえるチョコ