恋愛戦国期バブル時代から現在の恋愛までの流れ
岡田:現在の恋愛ですが、恋愛戦国期のバブル時代からどう変わってきたんでしょうか。
山田:バブル崩壊からエヴァンゲリオンまでで切ります?(笑)
エヴァの97年に一つ区切りがある気がするんです。つまり、そこでロスジェネ、メンヘラ世代が登場していますよね。
岡田:このあたりからですよね、女の子が面倒くさいことを言って、面倒くさいことが分かってくれる男がいい男みたいな風になった。
男はみんなカウンセラーにならなきゃいけなくなったんですね。
山田:メンヘラが一般化するのがこの年なので、自動的に男はそうならざるを得ない。
それができない男は恋愛市場から引き落とされるという流れがここで生まれてはいるんじゃないでしょうか。
僕は、恋愛経済のキーワードになるのは「ギャル」だと思うんです。
バブルの時に「イケイケ」と言われていた女性が、「ギャル」と言われた後、性の価値が暴落していくんですね。
そこでパンツを売るところから始まり、汚ギャルになり、最後ホームレスギャルみたいになっていって、それで2007年にギャルの歴史に幕を閉じる、と。
そのギャルたちを、女の子の代表だと思ってみていた、思春期の少年達…つまり、シンジくんですね。
その少年たちが今どうなったのかというと、たぶん宇野くん(宇野常寛)とかになっていると思うんですけど(笑)。
ロスジェネのこじらせた連中というのは、本当はアスカがほしかった。
要するに、エヴァのアスカは上から目線のギャルだと思うんですよ。
ただ現実のアスカは、シンジみたいなのは相手にしないで、オラオラな男と付き合うんです。
ここで、男女の間に永遠の別れがあると思うんですよ。
そこで、アスカに相手されなかったシンジ君たちが、どうしたかというと、みんながデスクトップの前に居座ることに決めたんじゃないかな(笑)。
岡田:今、男女ともに恋愛することが少なくなって不景気になった。
また別の言い方をすると、恋愛以外でも無料の楽しみがこの世の中に無限にあるということなんです。
つまり、スマホがあれば恋なんていらない。
スマホは、恋愛市場を活性化するような振りをしながら、実は恋愛に使う時間を無限に食いつぶしているんですよね。
山田:そう考えても、やっぱり2007年が恋愛市場においても一本線が引いてあるような気がしてきます。
それで、エヴァからギャルの終わりに初音ミクが登場する。
それまで、恋愛が肉体を伴っていた時代の終わりとともに、初音ミクというバーチャルアイドルの誕生という流れですね。
岡田:二次元で十分だという考え方が浸透してきたということですよね。
大学で教えていても、女子生徒も、男子生徒もそればっかりですね(笑)。
バブルの頃は、まだ恋愛結婚こそが結婚の形の頂点でしたよね。
『男女七人夏物語』みたいなもので同じサークルの中で出会って別れてを繰り返す、乱交文化に近いものがあったはずです。
このまま恋愛がどんどん加速していくのかと思っていたら、いきなり二次元で十分だという方向にいっちゃったんですよね。
おそらく、2007年に恋愛富裕層と恋愛貧困層に二極化したのかなと。
山田:二極化は予言されていましたね。
オタクとリア充とでわかれるだろうって。その頃はリア充という言葉はなかっただろうけど。
岡田:そして、リア充も非モテも同時にスマホを持っちゃっているもんだから、実はリア充ですらも恋愛市場の景気が悪くなってきていると。
これが大雑把な流れですね。