人間一人を動かす原点は恋愛

本田:結局これ、本の話はどっかいっちゃったんですけど(笑)。
本の中では1000人を動かすことから始まって10億人までいっているんですけど、最終的には一人も動かせないでどうするの?っていうオチになっています。
たくさんの人を動かすというけど、結局一人の×1000とか×10万って話だよねって。
その辺お二人はどうでしょう?

田端:やはり一人動かすのもすごく大変なんですよ。
家で本を書いていても、奥さんから「その本売れるの?ちょっとオムツ変えてくれない?」とか言われて「はい、変えます」ってなるわけですよ。
子供も言うこと聞かないし、もう一人動かすのも大変なんです。0と1の違いは、1と10億の違いより大きいというところがあって。

 それで、一人を動かすことがどれだけ大変かっていうことを、まず普通な人が生身に感じる原体験は、恋愛なんじゃないですか。
今日はもう少し真面目な話を聞きに来たマーケターの方もいるかもしれないのですが、大体今のマーケティングのあらゆる分母の中に、影のメタファーとしてセクシャルなイメージっていうのは織り込まれていますよね。
ハーゲンダッツのCMも典型ですけど、大体そこのボタンをついているんですよ。
あとは、車のCMなんかも大体典型です。この車を買えば、モテます、という。ファッション系、コスメ系もそうですね。

 そうなってくると、そこのポジショニングとか文法っていうのは絶対知っておいて損はなくて。
そういう感性みたいなところがわかんないと中々マーケティングやっていても、本当の意味での人がどう動くかみたいなところで悩みます。
まあ平たくいえば性欲がしめている動機って結構大きいんですよね。
だからこそ、そこを自分自身の心を含めて向き合うのは大事なんじゃないのかなと常に思っています。
では、はあちゅうさんどうぞ。

はあちゅう:私は、ソーシャル時代に人を動かすには、切り捨てる勇気こそが必要だと思っています。
私のツイッターは、20代の女性に受けようと思ってマーケティングしてつぶやいている訳じゃなくって、私の面白いと思う物に共感してもらう人に対して発信してるんですよ。
それを続けた結果、フォロワーがどんどん増えるということにつながったんです。
 無闇にターゲットを大きくするよりは、私の面白さがわかんない人はわかんなくいいっていう風にしてしまうことで、逆にファンが増える気がします。

 音楽プロデューサーの四角大輔さんという、歌手の絢香さんやsuper flyさんをプロデュースしていて七回くらいミリオン出している方がいらっしゃるのですが、彼は「すべてのミリオンセラーは大衆に書いたものではなくて、誰か特定の一人にあてて書いたものだ」といっていて、私もそうだなって思ったんです。

 私は近況報告をしたい友達に対して、ブログも他のSNSも発信しているつもりで、それがたまたま面白いと思う人たちにじわじわ広がっていったっていうのが結果だと思うので、批判に屈せずもうわからない人はわからなくていいし、すべての人にお伺いをたてる必要はないし、それはオンラインサロンでも一緒だと思っています。

本田:なめこスタンプも一緒ですよね。もう鈴木おさむさんはいいと!

はあちゅう:
鈴木おさむさんは仲良くして頂いていますけど!(笑)

本田:でも本当に、書籍の中でも入れ子構造の話をしていて。
1万人が動かない話は10万人も動かないんですよね。
だからそのマトリョーショカをどんどんはいでいくと見ようとしていなかった芯が見えてきたりして、案外そういう分析をしてないんですよね。
最初からたくさん動かすという目的意識より、「こういうコンセプトや内容で動かしたい、10人でもいいから!」というのがあって、結果的にそのコンセプトに共感してもらえる数字が1000だったというのが本当の姿なんでしょうね。

 本日は皆さん、ありがとうございました。