タツオさんが隠し持つ
意外な“ビッグダディ”臭
……と、ここまで書いたところで、私、衝撃的な事実に気が付いてしまいました。
実はタツオさんって、設定ではまだ32歳らしいんですよ!
ちっとも中年じゃねえ!
全然枯れてねえし。
バリバリ男盛りだし。
なんなら精力ありあまってるし。
よくよく考えてみれば、『となりのトトロ』の時代設定は昭和30年代前半。
ひょっとしてこれは、タツオさんが特別に“オトナ”で“枯れている”のではなく、今の30代男性がとりわけ“コドモ”で“成熟できていない”だけなのかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
そうなると、12歳のサツキが生まれたとき、タツオさんはまだ20歳だったということです。
昭和30年代ではなく、あえて現代の感覚で考えてみましょう。
弱冠20歳の考古学者が大きな功績を上げているわけがないですから、タツオさんは将来どうなるかもわからない苦学生の身分で、かなりヤングなパパになったことになります。
そして、妻の病気治療のためとはいえ、働き盛りの32歳で田舎に子供を連れて自給自足の暮らしをはじめるそのメンタリティ……。
あれ、なんだかそこはかとなく“ビッグダディ臭”がしてこないでしょうか?
ひょっとしたらタツオさん、意外とイタい人なのかも……。
タツオさんの魅力の本質は、見かけの草食性ではなく、根っこのヤンキー性にあり。
そう考えると、サツキも17歳くらいでカンタとできちゃった結婚しそうな気がしてきました。
「サツキとメイのお父さんが好き!」という人は、自らの内なるファザコン性だけでなく、秘めたるヤンキー性にも向き合ってみると、自分が本当に求めている“理想の男性像”が見つかるかもしれませんよ。
※次回は、人気投票第3位だった『もののけ姫』のアシタカがテーマです、お楽しみに。
Text/福田フクスケ