家に帰ってから気持ちが渦巻いて

家に着くとお友達の彼女さんによる茶化しが入るまではいつもの楽しい時間だったのに、だったのに! ということばかり頭の中に渦巻いてしまってすごく苦しかった。何年ぶりかわからないオーバードーズをすると、急に気持ちが前向きになって、私は彼の家までタクシーを飛ばした。連絡もしないで男の家に行くなんて一番やっちゃいけないやつ。人生で初めてやらかした。

ところがピンポンを押しても出てこない。あるはずの彼の愛用自転車もない。車はある。家に帰っていないということだ。ワンチャン、別の女の家という可能性もあるなと頭をよぎったけれどラリっていたので大した問題には感じなかった。
何を思ったのかラリっていた私はとんでもない長文で、「あなたはちゃんとしてるしいい男だしこれからも仲良くしていたい」という内容のメッセージを送った。
しまった……と思ったものの、しばらくすると「前みたいに仲良くしよう」と返ってきた。私は安心する。

しかしこれは男の優しさだ。私があまりに真っ直ぐすぎて可哀想だから傷つけまいと返事をくれただけと言える。それをなんとなく察した私は1週間後、飲みに付き合えとダメ元で連絡をした。返事はもちろん「忙しい」。5ヶ月続いたこの関係もようやく終わったか……というかもうとっくに終わってたのか、とようやく私も目を覚まし、次に行こうと冷静さを取り戻した翌日。彼から画像だけを送りつけられる。LINEのスクショだった。なんなんだ、と思って開いてみると、2人の女とのやりとりが綴られていた。

1枚目
「○○くんちに行っていい?」
「車で迎え行くよ、大変でしょ」

2枚目
「検査薬やったら陰性だったー不正出血なんだったんだろ」
「心配だね」

他に女がいるだろうなくらいのことは感じてはいたけれど、いざこうしてLINEのナマのやり取りをスクショして送りつけられるとなかなか精神的に来るものがあった。
あ、車で迎えに行くのってデフォなのね。相手がセフレでも、男からしたら車でざわざわ迎えに行くのって朝飯前なのね。
検査薬って、絶対妊娠検査薬のことやないかーい。

しかもそれぞれのやりとりは直近のものではなかった。まだ下に続きがあることを知らせる下向き矢印のアイコンが表示されていたし、9月何日という表記もされていた。
わざわざさかのぼってスクショして私に送りつけたというわけだ。
あのスクショにはどんな意味が込められていたのか、色々考えられるけど答えは彼に聞かないとわからない。LINEはブロックされてしまっている。
これも優しさなのかどうなのか。だとしたらこれは男の優越感だ。私は優越感に浸らせるための道具に過ぎなかったのだろう。

優しい人の中には2種類いる

以前Twitterでこんなツイートが流れてきたことがあった。
「人に優しくするのは好意があるからじゃなくて、単に優しくすると良いことをした気分になれて気持ちが良いからなだけ」という内容のもの。
私は「優しくするのは好意があるからだ」と勝手に思い込んでいたけれど、世の中は二種類の人間に必ず分かれるものだということをすっかり忘れていた。
優しい人と優しくない人の2種類がいて、優しい人の中には好意があるから人に優しくする人もいれば、好意がなくても優しくできる人の2種類がいるのだということを今回の件でよく理解した。
思えば自分だって別に恋愛感情がなくたって人に優しくすることくらいいくらでもあるではないか。
私はそういう基本的で単純なことをいつもいつも忘れて、自分の都合の良い方に考えて捉えてしまう。一体何度痛い目に遭えば済むのやら。

世の中は2種類の人間に分かれるのだとしても、目の前の相手がどちらに該当するのか判断できるほど私もそう賢くない。
次に出会う人がまた優しかったとして、その優しさは何由来なのか。
好きだからなのか、単に慈善行為なのか。無理に当てはめる必要はないだろうから、多分気にしないが正解なのだと思う。白黒思考はたいてい良い結果をもたらさないことは今まで何度も経験してきた……

どういう理由であれ優しくされたら、変なこと考えず、「ありがとう」とだけ返しておけばいいということだ。
勘違いしないよう、人の優しさに不慣れな人たちは用心しておきましょう。私の大失敗から学んでください。
好きじゃなくても人に優しくすることなんて、朝飯前なんですよ。

とりあえず、セフレとのスクショ送る男なんてサイテーなのでさっさともっとちゃんとしてイイ男見つけて恋してこって思いました。だめな男に恋する必要なし。
みんなもちゃんとイイ男に恋をしよう!

Text/oyumi