「別れた=上手くいかなかった」わけではない

まず、2年間お付き合いした彼と別れたことについて。
おそらくあなたは「価値観の違いを埋めるために、一生懸命向き合って、何度も話し合いを重ねて、歩み寄る努力をし続けた。それが無駄だったとは決して思わないけれど、あれだけ頑張ったのに上手くいかなかったということは、もう自分は誰が相手でも上手くいかないのだろうか」という結論に至ったように感じたのですが、いかがでしょうか。
できることなら、大好きな彼と一生一緒にいたいと願うでしょうし、もしかしたらその先に結婚という具体的な未来も想像していたかもしれません。
だからこそ、「別れた=上手くいかなかった」という認識を持っているのではないでしょうか。

でもね、ほんとうに“上手くいかなかった”と形容するのなら、別れた相手のことを今でも素敵な人だとは思えないでしょうし、円満な別れ方はできなかったのではないかとわたしは思うのです。
別れた相手に対して「あいつマジでクソだったわ! いや~別れて正解だった!」と思うことも悪いことではありません(別れたほうがいい人間は存在しますし、むしろ別れを決断できた自分を褒めていいくらいだと思います)し、円満とは言えない別れ方もダメではありません(人間関係は円満にいかないことは多々あり、それでも自分の幸せのために相手から離れたのはとても勇気ある行動だと思います)けどね。
少なくとも、時間が経ってから「素敵な人だったなぁ」と思える人と円満な別れ方をできて、かつ未練がないと言い切れるのはとても素晴らしいことですから、あなたはもっと自分のことを肯定していいはずです。

「別れたから上手くいかなかった」の一言にこれまでの努力を集約してしまうのはあまりにも乱暴ですし、頑張った過去の自分自身をきちんと肯定できていないように感じました。
たとえあなたの言葉通り「上手くいかなかった」という表現をしたとしても、今後新たに出会う人は別れた彼ではありませんし、あなた自身もきっと新しい向き合い方・歩み寄り方を覚えていくでしょう。
過去の経験が現在に影響を及ぼし、それに囚われてしまう苦しさも理解できますが、全てを一緒くたにして紐づけして身動きが取れなくなるのはおすすめできません。

依存先をひとつに限定しない

次に、孤独死への漠然とした恐怖について。
きっとあなたは、孤独死という言葉を「一人で生きていくことに対する寂しさ」や「独身のまま人生を終えること」などの意味合いで、一言で表現しやすいという理由から使用しているのだと思います、

要するに、「彼氏ができない! このままだと誰とも一緒になれずに孤独死まっしぐらだ!」のような、友達間のフランクなやりとりで使われる言い回しなのでしょう。
そういった軽口としての使い方を否定するわけではありませんが、今回の相談のためにあえて訂正させください。

孤独死というのは、「主にひとり暮らしの者が誰にも看取られることなく、当人の住居内などで生活中の突発的な疾病などによって死亡すること」「誰にも気づかれずに、独居者が疾病などで助けを求めることなく急死し、しばらくしてから見つかる場合など」が正しい意味です。
孤独死・孤立死は社会問題のひとつになっていて、簡単に解決できない難しい問題ですから、軽々しく「こうしたら孤独死しないよ!」とは言えないのですが……。
ただひとつ言えるのは、結婚していたりパートナーがいたとしても、絶対に孤独死を防げるわけではないということ。
何歳になっても、社会との関わりを持つ努力、恋人や家族などにかかわらず今ある良い縁を維持する努力をしなければ、誰だって孤独死をする可能性を孕んでいるのです。

ちなみにわたしは結婚していますが、たとえば夫が先になくなったあと独居になり、他に家族もおらず、頻繁に連絡を取り合う友人も気にかけてくれるご近所付き合いもなく、社会支援も一切受けていない、社会とのつながりが全くない状態で家で一人で突発的に死ぬと、それはもう孤独死なんです。
独身だろうが、恋人がいなかろうが、まめに連絡を取り合う友達や様子を伺いに来てくれるご近所さんが身近にいるとか、施設に入所していたり病院に入院しているなどの生活を送っていれば、孤独死は防げます。
もちろん、誰しもが突発的な死を避けられるわけではありませんから、一人きりで亡くなるときは亡くなりますが、少なくとも孤独は感じませんし、そのまま放置されるということはないはずです。

なぜ、今回あえて孤独死をいう言葉の意味を訂正させていただいたのかというと、あなたが依存先をひとつに限定していると感じたから。
相談文の中で「恋愛依存気味になっている気がする」と自覚されていること、「友達はいないに等しい」と言われていることからも、それを感じ取れます。
依存先を限定し過ぎると思考の種類が一辺倒になりやすいだけでなく、その依存先で上手くいかなかったときに自己否定に走ったり、さらにはこの世の全てがダメになってしまったような気がしてしまうのです。
彼と別れて「あんなに頑張ったのに上手くいかなかったのだから、もう今後の恋愛でも上手くいきっこないだろう」と恋愛の全てがこわくなっているのも、「このままだと孤独死まっしぐらだ……」と漠然とした不安に襲われているのも、それに起因しているのではないでしょうか。