ダメな男である理由とは?

パリジャンの友人の一人が、まさにそれです。
彼は、会う度に彼女が変わるという男で容姿も悪くない。
しかも映画関係の仕事につき、流行の店、服、アーティストのことは何でも知っていて、毎日パリを出回る人で、出会いはとにかくある。
そんなBOBO(ボヘミアン・ブルジョワー:パリの流行を引っ張る小金持ちな人のこと)だから、女性にもモテる訳です。

でも、そんな彼に珍しく彼女がいない時にお茶をしたら
「俺だって、そろそろ落ち着きたいのに、いい女はみんな結婚してる」
と、つぶやいて弱気を見せていました。

なぜ、彼は女性にモテるのに長続きしないのか? 結婚までたどり着かないのか?
それを知る機会がありました。

彼に電話してお茶でもしようと声をかけた時「今、ロシアの友人といるからおいでよ!」というので、行ってみました。
すると連れのロシア人の友人は、やはり美人で彼と何か関係が少し始まってるな、と思わせる微妙な距離感。
そんな彼女と私を連れて、彼の住むチャイナタウン(BOBOたちの中でチャイナタウンに安くて大きな部屋を借りるのが流行っている)の近くのカフェに行き、中華レストランでテイクアウトして彼の家で3人でご飯を食べました。

この一連の流れはいいのですが、カフェにいた時、彼が家に用事があるといって、カフェから彼の家に戻った時がありました。
その「ちょっと」が長い。
なかなか家から戻ってこない彼に私と彼女は何度もメッセージや電話をしますが、「家の近所で10年ぶりの同級生に会った」とかなんとか…結局30分ほど私たちはほったらかし。

この夜、彼にほったらかされた私とそのロシア人の女性と話していたときに「彼が何を考えているか分からない」ということで合致しました。
これは分かりやすい一例にすぎませんが、私がなぜこれまで彼を異性とし見て惚れなかったのかがはっきり分かった気がしました。

それは、「彼を信用できない」ということです。

友人として、ふらふら遊ぶのにはちょうどいいけれど、こういう何を考えて何をしているのかが分からなく、時々突き放されると、女性は不安になる。
逆に言えば、「いつもそばにいて、自分のことを気にしてくれる」それができる人にはなんだか愛着を感じるし、ずっと一緒にいたいと思えるものだなということです。

これはパリでも日本でも同じことじゃないでしょうか?
結局、女性は男性に「なにか確かな信用」を求めている気がします。
何かがあってもいつも一緒にいてくれる、というような信用です。
男性ももしかしてそういう目で女性を見ているのかもしれないですが…。

Text/中村綾花