愛がさめるなんて思っていないフランス人

 タイトルは確か『フランスのフェミニズムの歴史』というようなお固いもの。ただ、表紙はモダンで、手に取りやすいものでした。
パラパラとめくると、フランスでフェミニズムに関わる女性たちの写真とインタビューが何十人分も掲載されていました。

 この本に興味を持っている私を見てお店のマダムは、日本の女性とフランスの女性について私に質問をしはじめ、フェミニズムについて熱く語り始めたのです。

 現在のフランスでは、日本に比べると随分は女性の権利が認められているものの、まだまだ給料面では明らかな男女差があること、どれだけフランス女性たちが権利を持ち得たとしても不満は絶えないでしょう、という笑い話etc…

 美しい下着と水着に囲まれて、思いがけずフェミニズム話をすることになるとは。
これも、個人店であるからこそ、そしてフランス人マダムだからこその出来事だなと思いました。

 友人は、ようやくなんとかハイレグ具合も激しくなく、清楚なマダムスタイルの紺色の水着をご購入。
私はとっても似合うと思ったのですが、彼女はそれでも恥ずかしいから体に巻くパレオを後で買うと言っていました(笑)。

「もうここは日本じゃないんだから豊満なバディーをフランス男に見せつけてやんなさいよ!」と言ったものの、やはり彼女は遠慮がちな大和撫子なのです。
その後「日焼け止めも買わなきゃ!」とスーパーの化粧品売り場に行ったら、普通の日焼け止めと同じくらいの規模で「美しく焼く用のクリーム」も売っていて、友人は間違えてあやうく買うところでした。
そうそう、フランス人女性は海に日焼けしにいくのが目的ですからね。

 ヴァカンスに旅立ったその友人は、フランス南の島コルシカで、いくら日焼け止めを塗っても追いつかないくらいヒリヒリする!と嘆いているようです。
フランスのヴァカンスで日焼けしないなんて無理なんでしょうね(笑)。

 さて、ようやくヴァカンスも終わりしんみり雰囲気のパリでは、既に人肌恋しくなる季節に突入です。
あ〜。こうして、また長い、長いパリの冬に近づいてくのねぇ。

Text/中村綾花