別れさせ工作=色仕掛け、ではない

――そうやって得た情報から、相性の良さそうな工作員を派遣して、恋をさせて別れさせる、ということでしょうか?

水沢工作員

ざっくり言うとそうですね。ただ、よく誤解されるんですが、別れさせ屋=「色仕掛けのようなことをしてターゲットの交際相手やパートナーとの仲を壊す」ではないんですよ。

――そうなんですか? まさにそういうイメージを持っていました。

水沢工作員

色仕掛け的なことが必要な状況になればしますが、いきなりそんなことをしても、普通は「何この人?」と怪しまれますよね。あくまでもその人の日常に入って、自然に関係性を作っていくのが大事です。ちなみに派遣する工作員も、“色仕掛け”でイメージするような美男美女ばかりではありません。

――それも意外です! てっきり美男美女ばかりなものだと……。

藤木代表

ターゲットが仲良くなる上で不自然じゃない人物でなければならないんですよ。今までの恋人も周囲の友人もみんな美男美女であれば、工作員も美男美女で揃えますし、そうでないターゲットにいきなり美人やイケメンが近づいたら、びっくりして警戒されるかもしれませんよね。それに、派遣する工作員は異性だけではなく、同性同士で意気投合させることもあります。

ガードの固い男性に恋愛観を語らせる方法

――同性同士で意気投合させると、どういう効果があるのでしょうか?

水沢工作員

仲良くなって恋バナをして、工作に使える情報を引き出すんです。うまいこと彼の愚痴や好みのタイプを聞けたら、ターゲットの恋愛ニーズに合った工作員を派遣することができます。心変わりって、今の恋人にないものを持っている人とタイミングよく会う機会が増えたのがきっかけ、ということが多いんです。

――ターゲットの今の恋人(=依頼者が別れさせたい相手)の欠点を埋めるような工作員を接触させるんですね。

水沢工作員

例えば、「今の恋人はリードしてくれなくて悩んでいる」、「今、資格を取ろうと考えている」といった情報を同性同士の工作員が持ち帰ったとしたら、「リードできるタイプ」かつ「その資格に詳しい」工作員が近づきます。それで、資格の勉強を手伝ってあげたり、その流れで飲みに行ったりを繰り返す。その過程で恋愛テクニックなどを用いて、ターゲットに「こういう人と付き合ったら全然悩まなくて済んだのにな」などと思わせるわけです。

――すごい……。いかにも心変わりしそうなシチュエーションですね。

水沢工作員

これはあくまで簡単な例ですが、基本的にはこのような流れで別れさせ工作をしていきます。

藤木代表

ちなみに、女性同士は仲良くさえなれれば恋愛周りのことをたくさん話してくれるのですが、男性同士だとたいてい仲良い相手でもあまり話してくれないんですよ。

――確かに、男性同士だとあけすけな恋バナってしなさそう。

藤木代表

男性の場合、基本的には相手に語らせようとしたらダメ。工作員側が自分から恋愛観や恋人の話をガンガンして、一致しているところがあると「それわかる」と乗っかってきます。