自分を縛っているものを考えるのを怠らなければ

「そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまうことね」とは大ヒットしたドラマ『逃げ恥』の百合の言葉ですが、呪いの「正体」を見極めると、私たちはその場所から動きやすくなります。「結婚」とは何なのか、「家族」とは何なのか。永田さんと一緒に様々なデータや歴史を振り返ってみたことで、「自分に呪いをかけていたものの正体」に気付くことができた人も多かったのではないでしょうか。

「男と女が婚姻届を出して、法律的な結婚をして、子供を産んで、2人で育てる」ことは、現在多くの人が選択している古典的な家族の形です。でも、男と女が婚姻届を出さずに一緒にいたっていいんじゃないか。男と男とか、女と女とか、男女が混ざったもっと大人数で一緒にいたっていいんじゃないか。そしてもちろん、一人きりでいたっていいんじゃないか。現在30歳の私もまだまだ独身の人生を歩む予定ですが、もし30歳を過ぎても独身でいることを不安に感じている年下の女性がいたら、「自分がしっかりしていれば、そして自分の考えを縛っている様々なものの正体を考えることを怠らなければ、別に大丈夫」と伝えていきたいです。

覆面芸術家・Banksyの作品集の帯に、「勝てないなら、テーブルごと引っくり返せ!!」という言葉が載っています。少々荒っぽい表現ですが、もし今自分がいる場所に息苦しさを感じている人がいたら、美術界の様々なルールを無視してきたBanksyみたいに、テーブルや固定観念なんか引っくり返してしまえばいいんです。ルールを無視して「逃げる」ことは、決して後ろ向きな行為ではありません。

ゴールなんてないけれど、前向きに、より自分らしい方向へ「逃げ」続けた先に、居心地のいい場所がきっとあるはず。今回のイベントは、そんなことを考えるきっかけになったのではないでしょうか。

Text/チェコ好き