家族でありながら、同性としての意識も常につきまとう“姉妹”。その複雑な関係性を、独身三姉妹の姿を通して描いた舞台第6回ブス会*『お母さんが一緒』が、11月19日(木)から30日(月)まで「下北沢ザ・スズナリ」で上演されます。
そこで、ブス会*の主宰であり、脚本・演出を担当するペヤンヌマキさんに、“独身女性にとっての家族の在りかた”や“生きかた”についてお話を伺いました。最終回の今回は、「母親、姉妹の関係性と舞台の見どころ」について語っていただきました。
過去の記事はこちら↓
第1回「結婚だけが女の幸せではない!姉妹から見える家族の関係」
第2回「35歳過ぎたらネガティブ発言はもう終わり!自分の中のネガティブを笑いのネタにしよう」
自分が持つ“母親”のイメージは捻じ曲げられた虚像かもしれない
――舞台のタイトルにもなっている「お母さん」、ペヤンヌさんご自身はお母さんとどのような関係ですか?
ぺヤンヌマキさん(以下、ぺヤンヌ):仲は良いですが、私が小さなときからネガティブワードを呪いのように言い続けてきた人なので(笑)、程よい距離感が必要だと感じています。離れていると親の有難味もわかりますし、喜ばせたい気持ちが芽生えて「親孝行したい」とも思うんですけど、つい近づきすぎるとひどい態度をとってしまって、イヤになることがありますね。
――そのような思いがストーリーにも活かされているのでしょうか?
ペヤンヌ:そうですね。この舞台は旅先の宿で2部屋とっている設定なのですが、母親と一緒にいるのは30分も持たないと三姉妹で入れ替わりに部屋を移動したり、誰が母親の部屋に行くかで揉めたりします。母親を喜ばせたくて来ているのに、その思いが空回って大騒動に発展していく感じです。
――お母さんがどんな人物なのか気になります。
ペヤンヌ:母親は舞台に登場せず、性格がそっくりな長女を通してどんな人物なのかが見えてくる構成になっています。でも、母親のイメージって「お姉ちゃんをひいきしていた」とかその逆とか、思い込みや被害妄想で捻じ曲げられるから、三姉妹それぞれに違いますよね。だから、それぞれが抱く母親像に触れるごとに、どれが本当の母親なのかわからなくなるんです。「私の思っていた母親は虚像だった」みたいな(笑)。観ているかたにも、そんな風に感じてもらえたらいいですね。
――ペヤンヌさんご自身は姉妹でお母さんに対する捉えかたの違いはありますか?
ペヤンヌ:母は常に平等に接してきたと言っていますが、私と妹はそれぞれに“どちらが愛されているか”を気にして比べていたように思います。妹は私のほうが自由にさせてもらっていると感じていたようですが、私は、見た目のかわいさが「妹のほうが上だ」って親も秘かに思っているだろうと感じていました。父親は妹のときだけ成人式の着物姿を携帯の待受画面にしていましたし、メディアに映った私の写真を見て「意外といい顔してたんだな」なんて言ってくるんですよ(笑)。
――それは傷つきますね。でもそれらの経験が、家族をテーマにした舞台づくりにつながったんですね。
ぺヤンヌ:はい。本当はあまり表に出したくないというか、気持ち悪いというか、触れるのが怖い部分ではあるのですが、あえて食い込んでいきました。それに、家族に関する悩みってなかなか他人に話せないものなので、これを観てスッキリしてもらえたらいいかなっていう思いもあります。
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