賢い旅人は下着を旅先で捨てる

旅先には、捨てても良いような着古した下着で赴く! これ、旅慣れている人にとっては「あるある」ですよね。いや、旅慣れていない人でも、旅行は着古した下着を捨てる良い機会という定説はご存知でしょう。

旅行帰りにはお土産を買い込むので自ずと荷物が増えます。帰路の荷物を少しでも減らすため、下着は旅先で捨てるのが賢い旅人です。捨てるのですから、買ったばかりのおニューな下着ではなく、着古した下着を着用して旅に出ることとなります。

着古したヨレヨレの下着で旅行している途中、釣り船体験で同乗した異性やら、同じゲストハウスに宿泊している異性やら、旅先の酒場で隣り合わせた異性やら……何らかのカタチで出会ったとしましょう。そして、「俺の部屋においでよ」「私の部屋においでよ」という流れになるのでしょう。

宿の自販機で買った缶チューハイを飲み終える頃には、大半の男女がベッドインという流れになっているはず。そしてお互い、着用しているのは着古したヨレヨレのパンツです。お互いの脳裏には「旅の恥はかき捨て」というコトワザが浮かんでいることでしょう。「普通に考えたら着古したヨレヨレのパンツをヒトサマに見せるなんてありえない」「しかし旅先で出会った者同士なのだから、どう思われても気にしないワカチコワカチコ」と。

一夜限りの恋をエンジョイすべし

これぞ、旅先で一夜限りの恋が生まれる理由です。着古したヨレヨレのパンツで来ているという大前提があるからこそ、次に繋げる恋ではなく、一夜限りの恋をエンジョイすべしと割り切った感覚が生まれるのでしょう。

相手も着古したヨレヨレのパンツを穿いているって部分もポイントだと思いますよ。「釣り船体験では餌の付け方も頼もしかったけど」「ヨレヨレのトランクス穿いているマヌケな姿を見ちゃうと百年の恋も冷めるわー」といったところでしょうか。だからこそ、引きずることなく、ひと夏の想い出として消化できちゃうんですけどね。

というわけで、今年はなかなか難しいかもしれませんが、いつか着古した下着で旅先でのアバンチュールを楽しんできてくださいね。

Text/菊池美佳子
初出:2021.08.09