関係性なんてどうでもいい。大切にしたい人を大切に

年齢を重ねると、性別の境界線があいまいになっていく。友達や恋人、家族など、名前のつかない関係性なんてこの世界にはたくさんあって、その関係に名前を付ける必要もない。大切にしたい人なら、できるだけ大切にすればいい。家族の形もどんどん多様化し、周囲に合わせて制限する必要はないのかもしれないと考え始めたのも、ひとつのきっかけかもしれない。もちろん、私の人間としての魅力が希薄であるとか、加齢とともに女であるメリットが減少しているといったマイナス面が作用し、恋愛に関して徐々に諦めの気持ちを強く持つようになったこともあるのかもしれないが、色々な出来事が私の考え方を変えたのだ。

それに、例えば些細な一言で救われた経験が、私には何度もある。自分に自信が持てないとき、悲しみから抜け出せないとき、本人は覚えていないかもしれないが、私は何度も助けられた。このままの私でもいいのかなと思えた。こんな風に、私も少しずつ誰かを救えるんじゃないかと思うのだ。

これこそ、ただのおせっかいで、大きなお世話なのかもしれない。将来、自分よりずっと若い人から疎まれるようなおせっかいおばさんになる未来もちらつく。ちょっと嫌だな。けど、そういう年の取り方もいいのかな。何もしないで、周囲に対して無関心でいるよりは。

Text/あたそ

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