あなたと私の問題
「どうして可愛げや隙が大事なんですか?」って聞いたら、あの人たちは「気持ちよくなりたいから」って答えるんだろうか。答えないだろうな。そもそも、可愛げを求めることが支配につながっていることに自覚的かどうかもわからない。もちろんそんなこと考えて可愛げを求めてるわけじゃない人もいるだろう。
でも、私に変化を求めるタイプの「可愛げがあった方が〜」はやっぱり見逃せない。相手の気持ちよさのために弱くなることは、自分を踏みにじることだ。
私は普通に、自分らしく毎日を過ごしていて、そんな可愛げのない私でも仲良くしてくれる人はいる。それでも「もっと隙とか、可愛げがあった方がいいよ」と他人から言われるたびに、やっぱりそうなのかな、ただ堂々とそこにいることって相手に失礼なのかなって悩む。
だけどさ、相手にとって過ごしやすい人間ってなに?! 確かに私に可愛げがないから相手が接しにくいとして、それって私だけのせいなの? だって、私とラフに付き合ってくれる人も沢山いるんだよ?
これってつまり、私の可愛げない問題であると同時に、相手の問題でもあるのだ。自分が支配しやすい状態の人しか認められないっていう心の問題があなたの中にもある。それをさも私だけの問題みたいに「そんなんじゃ損するよ」的な雰囲気出して、なんなら「あなたのためだよ」なんて恩着せながら言ってくるのは卑怯ってもんよ。
その可愛げは、本当に私に必要なもの? それともあなたが欲しいもの? あなたが欲しいならきちんと正直に求めるべきだ。「私が気持ちよくなるために可愛げや隙を持って接してほしい」って。まぁ断るけど。
そんな常識クソくらえ
これはモテに限った話じゃなくて、全ての人間関係に言えることだ。上司に気に入られるために可愛げが必要になったり、取引先とうまくやるために隙が必要だったり、私たちはいろんな場面で支配のしやすさを求められる。でも、コミュニケーションって奉仕じゃないからね。どっちかだけが気持ち良いなんておかしい。二人で気持ち良いのがコミュニケーションです!
仕事のためであれ恋のためであれ、その他のすべてのためであったとしても、片方が奉仕に徹するのは違うと思う。だって、支配されていい人間なんていないじゃん。支配とかないでしょ。怖いもう響きが。
どうせこの先も何十回も言われるんだと思う。「長井さんは可愛げがないね」「もっと隙があった方がいいよ」でも、そういう謎の常識みたいなものをぶっ壊したいじゃないですか。もう終わりにしたいじゃないですか。
対等な関係性だからできることはたくさんある。もしかしたらそれは、支配でできることより多いかもしれないよ?「長井さんは普通に接してくれるから楽だなぁ」って私に言ってくれたおじさんもいた。可愛げを振りまかれる方もきっと疲れるのだ。ならもうみんなでやめようよ〜!
芸能関係の間で囁かれる「結婚したら仕事がなくなる」っていう迷信は嘘だった。だからきっと、相手にとって可愛げがないといけないってのも嘘にできる。見えづらくても目を凝らして本当の姿を見てくれる人は絶対にいる。
あと何回世界を信頼できなくなったとしても、これを読み返して信頼し直したい。だって、世界はみんなで作ってるから。可愛げとか隙で悩んでいる人がもしいたら、そんなのなくても大丈夫だって、うちらが一番に証明しよう。2021年はもっと強いうちらで!
TEXT/長井短
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