こんばんは。
本日は23時台から書き始めております。(まだ)真夜中じゃない!
コロナからこっち映画館に行く機会がめっきり減りました。
反比例してわかりやすく増えたのはリアルタイムでテレビドラマを観る時間。回を追うごとにキャラクターが膨らみ、ストーリーもキャスト陣の演技も深みが増すところがドラマの醍醐味ですね。今は私が三度の飯に匹敵するほど好きなバディもの、『MIU404』を一番の楽しみにしています。
心に傷を持つクールな理論派・星野源とギャル並みに明るい超感覚野生児・綾野剛という、いいんですか?!というくらい新鮮かつ最高な取り合わせが癖になる本作。昼夜を問わずパトロールして現場にいち早く駆け付ける日本警察初動捜査の要・機動捜査隊の活躍を描く刑事ドラマです。
そんなわけで今回は個人的なブームにより、『MIU404』主演のお二人の作品を見直す回!です。
女心をくすぐる!星野源が輝く恋愛映画
実は私はネット上で一時期、星野源さんを見かける度に大騒ぎをしていました。
それも「すべての女を星野源から守りたい!」とか「罪を憎んで星野源を憎まず!」などの、かなり斜めな方向の騒ぎ方です。まったく失礼な話です。
懺悔と共に言い訳をさせていただければ、無論、アンチというわけではありません。
多方面に発揮するマルチな才能と飾らない態度、そしてそれに裏打ちされたあのカラっとした自負。
とにかく星野さんの持つカリスマ性というか吸引力の強さを感じると、私の中の銭形警部が
「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。女たちの心です!!!!」と声高に叫ぶのでした。
若かりし星野さんのそんな魅力が遺憾なく発揮されている映画が『ノン子36歳(家事手伝い)』。
真っ正面からのラブシーンもあったりしてR-15指定の作品なのですが、私としてはむしろR-30くらいなのではないか? とすら思う、ほろ苦くも不思議な爽やかさを持つ一本です。
主人公はタイトルそのまんま。昼夜を問わずスナックで飲んだくれている36歳のノン子は、一度は東京でタレントをやっていたものの鳴かず飛ばずで、マネージャー兼夫とも別れた出戻りの身です。
実家は神社で、地元を歩けばみんな経歴から何から周知の事実。
残りの人生消化試合、みたいな顔してふらふらしているばかりのノン子の前に現れたのは見知らぬ若者、マサルでした。
コネもないのに縁日に出店させてほしいという彼を、行きがかり上面倒見ることになるノン子。
このマサルがなんというか……朴訥としているというか飄々としているというか……なんだか放っておけないけど情けなくは感じない、星野さんの女心くすぐり度がピカイチな役どころです。
何かを成し遂げたい!<世界>を見たい!という漠然とした大きな夢を語る彼を最初は醒めた眼差しで見ていたノン子も、だんだん自分の中にくすぶり続けているものを刺激されていく。
色々なものを諦めて自分にかけていたブレーキが、何とはなしにゆるむ。
自分という存在の不確かさを求めたり求められたりすることで埋めたいという気持ち。
あなたじゃなきゃ、ってわけじゃないけど、誰でもいいってわけでもない。
そんな、行き先がまだ見えていない男と着地点が分からなくなった女の、それぞれに揺れる心情が淡々と、けれど印象的に描かれています。
刹那的なつながりから『卒業』みたいな展開へと雪崩れ込んでいくラストは、観る人によって感想も結構違うんじゃないかなと思うのですが、人生でちょっとした休憩をとっているときの「一服」に、いいかもしれません。
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