蛭子能収の「おひとりさまを笑うな!」インタビュー(1)

 独特のタッチとナンセンスギャグが持ち味の漫画家であり、テレビ番組での“空気を読まない”、けれどなぜだか憎めない言動で、多くの人の心を惹きつけ続ける蛭子能収さん。
昨年8月に刊行した初めての新書『ひとりぼっちを笑うな』(KADOKAWA)では、蛭子さんが”つながり過ぎ”の現代社会に異議を唱え、各方面で話題になりました。また同書内の数々のエピソードに表れる「ひとりぼっちの喜び」と社会生活とを両立させるバランス感覚の良さにも注目が集まっています。

 今回SOLO編集部は蛭子さんにインタビューを敢行。同書をヒントに、独身女性にも活かせる“ひとりぼっちの流儀”について伺った全4回です!

同級生に非難されてもやり通した「熱湯風呂」

蛭子能収 蛭子能収

――新書『ひとりぼっちを笑うな』は発売してもうすぐ9か月が経ちますが10刷目(2015年3月末時点)だそうで、もはやロングセラーといった風格で書店でも目立っています。

蛭子能収さん(以下、敬称略)

えっ、10刷!?新書という形態もよく分からないし意識もしていないんだけどね。でも、周りではこの本読んだよって言ってくれる人いなくて、売れているって実感まったくないよ。

 芸人の又吉さんが書いた小説(『火花』(文藝春秋))なんかは月刊誌に出したとき、その号だけすごい部数がバーンと伸びたそうじゃないですか。それはめちゃめちゃすごいと思うけど、俺なんかまだまだで恥ずかしいよ。

――多方面のお仕事をされている蛭子さんですから、いつか小説も読んでみたいです!

 このサイトでは“おひとりさま”女性向けの情報を発信していて、読者の方も独身アラサーが多いです。その世代で蛭子さんと言うと、「スーパーJOCKEY」(日本テレビ系)などが思い出深いと思うのですが、先日テレビ番組で、同番組の出演料について明かしていましたね。

蛭子

「スーパーJOCKEY」の熱湯風呂は、1回分のギャラが当時の給料の1か月分。1か月働いてやっと稼ぐような金額を、1日というか半日で稼げてそれが1日2回録りってこともある。こんな労働があるのかってすごくびっくりしましたよ。

――同級生に「お前あんな情けない仕事するなよ」と言われても、「自分は月給分にあたる金額をたった1日で稼いでいるのだからやめられるわけがない」と思っていたというエピソードが印象的でした。

蛭子

初めてテレビに出たときはこれがいくらになるか、お金はどうやったら振り込まれるかって何も分からなかったんですよ。最初は事務所にも入っていなくて個人でやっていたから。

 だから俺テレビ局に聞いたんです、お金ってどうやってもらえるんですかって。そしたら請求書出さなきゃダメだって。漫画の仕事で取引していた出版社は向こうから振込番号とか聞いてくれていたので、あのとき初めて自分で請求書というものを作りましたね。