自分の欲望にプライオリティを付けよう

結婚しない生き方についてインタビューに答える鈴木涼美さん 宮本晶比古

――“自分にとって大事なもの”のプライオリティはどう決めればいいのでしょうか。なにかコツのようなものはありますか?

鈴木

単純に、好きな順に並べればいいと思います。ただ、「私は仕事で生きていく」とか大きい思想にしてしまうと、「でも、恋愛も諦めきれないし…」ってなっちゃうので、もう少し噛み砕いて「明日好きな人とデートするか、3万円の仕事をするかだったら、自分はどっちを取るか」とか、細かく考えるといいんじゃないでしょうか。
「3万以上だったら、仕事を取るかな」と思ったら、「私は1番お金、2番恋愛なんだな」とかね(笑)。

 あんまり大事(おおごと)に考えない、途中で順位を変えることをためらわないのが大切だと思います。

――間違ったこと、損になることをしたくないと思って、なかなか欲望のままに生きられない人もいると思うのですが。

鈴木

正しいこと、意味のあること、役に立つことをしなきゃと考えるのは、往々にして無駄なのでやめたほうがいいですね。そんなのは、未熟な自分の頭で考えたことにすぎないので、合ってるかどうかなんてわからないですよ。

 たとえば、楽しいからヨガをするのはいいけど、健康のためにと思ってやってしまうと、20年後に実はその情報は間違っていて、ヨガやると命が縮みますと言われるかもしれないし、体に悪いからとファーストフードをやめたって、意外とマックが長寿の秘訣でしたってことが後々になってわかるかもしれないじゃないですか(笑)。

 社会貢献にしろ、自分の体の健康にしろ、ためになることをしなきゃいけないという強迫観念が、生きる楽しさを奪っていると思うので、「これやってなんの得があるの?」という考え方はしないほうが、のびのび生きられると思いますよ。