生きてる限り今が全盛期

まず印象的だったのが、言葉のポジティブさ。
「口癖の質」だった。
目の前の相手を、そして自分自身を肯定する言葉を多く使った。
相槌一つでも「良いね!」「素敵!」「幸せ!」「楽しみ!」をテンポ良くサラリと口にするのだ。どんな相談にも、若気の至りにも、尊重と肯定を欠かさなかった。
特に「ゆとり世代の表現力は本当にすごい!」と、ゆとり世代を初めてポジティブに語ってくれた大人だったことは忘れない。

一番衝撃的だったことは、ご飯をめちゃくちゃ美味しそうに食べる!!
本当に同じものを食べているのか? と疑ってしまうほど、オーバーに「美味し~~い! 最っ高!」と顔を綻ばせながら、何てことないファミレスのハンバーグを幸せそうに頬張る。そんな姿を見て、私はショックだった。
ハッピーな心を持った彼女みたいな人になりたいと思った。

無邪気さは大人になる過程で失くすものだと思っていた。
メイクを塗り重ねるように、年を重ねるとはエンドレス補強作業だと思っていた。

しかし彼女からは、「洗練されたシンプルさ」や「ナチュラルな無邪気さ」が溢れていた。
ノーファンデなのに私より綺麗な肌も、モヒカンのアップスタイルも、東京で貫く博多弁も、その全てに芯を感じた。

さらに、彼女は「好きな人がいるんよ!」とオープンに語るもんだから私は驚いた。
「今日は会えるかな~フフッ」と笑う彼女を見て、私は大人になるって何にも怖いことじゃないと初めて思えた。

いくつになっても輝いていいんだ。楽しんでいいんだ。
「輝くことを諦めない心」を耕せば、こんなに素敵な大人になれるんだ……。

あれから10年、私は27歳になった。

あんなに大人に見えていた27歳は、なってみるとそうでもない(笑)。

彼女と出会う以前は「今が全盛期」のようなプレッシャーを感じていたが、なってみると断然今の方が楽しく生きているから納得。

いずれ歳を重ねていく現実に恐怖心を持っていた私が彼女に救われたように、「歳を重ねる自然」をポジティブに受け止め、ハッピーな心を耕し、内側を磨き、背筋を伸ばす。

それはきっと、次の世代の希望になるから。

「生きてる限り今が全盛期」
私はこれからも、この言葉を掲げて生きる。

Text/椿