純喫茶のマスターというとどのような方を思い浮かべるでしょうか?
蝶ネクタイを締めた白いシャツと黒いパンツスタイルで正装した物静かな方、トレードマークになっているエプロン姿が見慣れた元気な方、清潔でパリッとしたシャツに身を包んだ穏やかな方…。今回は立ち寄れば思わず元気になってしまうような明るくてユーモアあふれるマスターのいる純喫茶を紹介します。
足を運んでくれる人たちには応えたい
JR三鷹駅南口から歩いて2分程のところにあるリスボンは、現在は地下で営業されています。昔は1階にあったようで、昔来ていたお客様が久々に訪れた時に「閉店してしまったのだろうか。」と引き返してしまわないよう入口へ続く階段前には大きな看板が置かれています。
「気前が良いのはランチバスケットと僕の笑顔だね。」と笑いながらもしっかりと店内のお客様に目を配る様子はさすがです。「チェーン店が増えて安さでは到底叶わないから、わざわざ地下まで足を運んでくれる人たちには出来るだけ応えたい。」と強い思いを感じる真面目な表情で語ってくれました。
人気の一品である「ランチバスケット」は奥様と一生懸命考えた末に出来たメニューだそう。名前には「ランチ」とありますが、昼時だけではなく朝11時から閉店時間まで注文可能。日替わりのサンドイッチが2種類、サラダ、ヨーグルトに果物がついて340円(2016年4月現在)。
驚くのは安さだけではなく、運ばれてきた時に思わず声が出てしまうほど綺麗に盛り付けられた籠の中。味ももちろん抜群で、こちらを目当てにやってくる人がとても多いそうです。
こぢんまりとした店内ですが、席がいくつかのスペースに分かれているため窮屈な感じはまったくせず、ゆっくりと寛ぐことが出来ます。
誰かと話したい気分の時は、カウンター席に座ってみてはいかがでしょうか。てきぱきと仕事をこなしつつもたくさんの冗談が飛び出すマスターにつられて、思わず笑顔になってしまうことでしょう。
純喫茶には珍しく、飲み物の大きさを大・中・小から選べるサービスは、飲み足りない方や1杯では持て余してしまうお客様のことを考えた結果生まれたサービスということです。
Text/難波里奈
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※2016年4月15日に「SOLO」で掲載しました