学校がある街には必ず素敵な純喫茶がある?
仕事の後に約束や予定がないとき、皆様は普段何をして過ごしていますか。
まっすぐ帰宅する日もあれば、お買い物、映画…など人それぞれだと思います。 友人と会うことももちろん楽しいですが、自分の好きなように動ける1人の時間も大切だと思います。
私はというと暇さえ見つけては神保町へ出掛けます。 職場が日本橋にあるので歩いて向かうとちょうど良い散策距離となるのです。 寄り道をしなければ徒歩20分程ですが、ふらりと路地に迷い込んだり、見つけた純喫茶で珈琲を飲んだりするため到着する頃にはすっかり遅くなってしまうこともしばしば。
「学校がある街には必ず素敵な純喫茶がある。」と、今までの経験上考えていますが、神保町周辺にも沢山の大学があり、純喫茶も多いので当てはまっているのではないでしょうか。
今回はその中から、日本で初めてウインナーコーヒーを提供したといわれる純喫茶を紹介したいと思います。
神保町では書店を巡り、気になった本を購入してからどの純喫茶へ寄ろうか悩む瞬間が幸せです。
三省堂の裏口を出て見える小道には、タンゴの流れる喫茶店「ミロンガ」と「ラドリオ」が向かい合って灯りを点しています。
一般的に純喫茶の定義は「アルコール類を提供せず、珈琲が飲める喫茶店」を指しますが、私はもう少しゆるやかに「昭和の時代からその場所で愛されている喫茶店」としているため、アルコールメニューの豊富なラドリオですが、純喫茶として利用しています。
昭和24年創業、神保町で最も古いとされ老若男女に愛されているこちらが発祥と言われる「ウインナーコーヒー」とは珈琲の上にクリームを浮かせた飲み物で、クリームもすぐに溶けてしまうやわらかいものや飲み終わるまで形が崩れない固めのもの、珈琲に最初から砂糖が入っているなど店によって様々です。
ラドリオではオリジナルのコーヒーカップに形の美しい濃厚なクリームがたっぷり浮かべられるため珈琲が覚めにくく、読書のお供に最適です。
スペイン語で「レンガ」を表す店名の通りレンガ造りの内装で、入口近くのカウンター席では常連客の楽しそうな様子がいつもの風景です。
奥には深く腰を下ろせる座り心地の良い赤い革張りの椅子とテーブルが並びます。
BGMとして流れるシャンソンと明るすぎない照明が訪れた人をリラックスさせるのではないでしょうか。
豊富なメニューの中でもシンプルな味付けが絶品のナポリタンや絵が貝殻に形になっている美しいグラスに入ったコーヒーゼリーが特にお薦めです。
Text/難波里奈
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※2016年4月8日に「SOLO」で掲載しました