なければないで、なんとかなる

と、このように、人間は「なければないでなんとかなるし、なんとかする」のである。そして、ホテル仕様のふわふわタオルをやめて乾きやすさ一本勝負でタオルを選んだり、「あれもこれもできたらいいのに」を諦めて「あるものでやるしかない」と決めてその先は潔く諦めたりすると、不幸になるどころか、心穏やかになって生きるのがかえってラクになる。私はまだ洗濯機も冷蔵庫もバッチリ持っているが、しかし、これはとっても共感できる話だ。

もっとこうだったらいいのになと思ってそれに向かって努力することは、たしかに素晴らしい。ただ、人間の欲望は膨張し続けるのでキリがない。私には体力がないので、できることに限りがある。が、それは稲垣さんが洗濯機や冷蔵庫のない生活を送りながらハッピーに過ごしていることと似ているのではないかと考えると、やっぱり、虚弱体質の人生もそう悪いものではないと思う。

『家事か地獄か』、アップグレードだけではない人生を考えたい人に、おすすめできる本です。