秘密を話したい人もいる

そしてみっつめは「秘密を吐露したいという根本的な欲求」。以前、とある女性に性の話を聞くインタビューを行った際のこと。生々しい性体験の話って、相手のタイプによっては対面や電話よりもチャットのほうが、向こうの照れや羞恥心が発動せずに済んで、深い話が利ける場合もあるというわたしなりのノウハウの元、チャットで行い、目論見通りに大変いい話を聞くことができたのですが、最後に感謝の言葉を述べたところ、向こうからも「いいえ。誰にも言えない話なので、むしろ聞いていただけて嬉しかったです」と返ってきたことがあった。

社交辞令もあるだろうけども、実は性をテーマとインタビューの後にお礼を言われることはわりと度々ある。ようするに「自分の性的な秘密を話したい」という欲望がある人がいて、しがらみのない真っ赤な他人であるわたしは、その解消に都合よいのだろう。古い友人はまるっきりの赤の他人ではないものの、彼がそうであるのならば、秘密の告白くらいは付き合ってやるか。やれやれ。

Text/大泉りか