核心的なことにあえて触れず、ゲスい話をして笑いあえる関係って貴重

二十代の半ばから、『Oi-SKALL MATES』、通称オイスカというスカバンドを追いかけています。出産の前後はライブに行く回数が減ってしまったけれど、それでも野外のフェスにはまだ小さい息子をエルゴの抱っこ紐に収納して行っていたし、結成20周年記念の新宿アルタ前広場ライブの時は、妊娠しているようなしていないような……たぶんこれはしてるだろうな~という予感のなか、あえて妊娠検査薬で調べることなく参戦した。もしも妊娠していることがわかったら酒が飲めないし、心置きなく暴れられないからで、案の定、ライブの翌日に検査薬を試したところ陽性でビンゴだったんですが、なにはともあれ息子は無事に生まれてすくすく育っているので許してください。

もう二十年ライブに足を運んでいるので、会場には顔見知りもいるし、ありがたいことにメンバーにも仲良くしてもらっている。入籍せずに別れたかつての恋人との結婚パーティーと、入籍したけれども今年の春に別れた元夫との結婚パーティーではステージで演奏してもらったし、大阪ツアーについていったこともある。メンバーを家に泊めたこともあるし(NOT セックス!)、かつて鍵盤を弾いていたマミちゃんは、いまはママ友となってしょっちゅう飲んでいる。

でもって、先日はバッドマナーズというイギリスのスカバンドが来日して、オイスカと一緒にライブをするということで、新代田のフィーバーというライブハウスに行ってきたんですが、ライブ前に常連のライブ友達とタイ料理を食べている際に「なんでりかさんはオイスカに通い始めたの」と尋ねられた。それを……それを聞いちゃいますか!?

オイスカとの出会いは…

あれは2004年のこと。当時、わたしは、ピンクローターズというユニットを組んで歌舞伎町にあるロフトプラスワンというトークライブスペースで定期的にエロイベントを主催していました。だいたいはSMショーとか自縛ショーとかキャットファイトとかストリップを演目に出すことが多かったのだけれども、ある時、知り合いのSM嬢と一緒にちょっとここでは詳細を書けない感じのイベントをすることになった。イベント名は『新宿ス●ト×パラダイス』。その際、SKAが好きだったイベントのDJが、シャレでオイスカのライブにフライヤーを配りにいった。すると楽屋で「外でどえらいフライヤーを配っているやつらがいる!」と話題になったそうな。そしてどうしたことか、当時オイスカのスタッフをやっていたとっさんという男性が「俺にDJさせてくれませんか?」と声を掛けてきて、そこからのご縁……というわけです。酷いですね。

そんなきっかけで20年もつかず離れず、ずっとライブハウスで会い続けているのだけど、こないだ楽屋でメンバーや周辺の知人たちとぐだぐだと話しながら、しみじみ思ったのはこんな感じのちょうどいい距離感ってなんだかいいなということでした。休み時間にクラスメイトと話している感じというか、議論や意見交換ではなく、時間つぶしに誰もが誰もを少しだけ楽しませようと思ってちょっとゲスいエピソードを披露して笑うその感じ。

人との付き合いって、濃度が重要な気がするけれども、逆にライブハウスでしか会わないとか、年に数回の飲み会でしか会わないとか、たまにバーで一緒になるとか。そういう相手とあんまり核心的なことをあえていわずに、ただ笑ってしゃべれるってそれはそれで貴重だな、と思ったのです。ちなみに三回目の結婚パーティーがあったらまた演奏してくれるらしい。予定はないけれども、ありがてー!

Text/大泉りか