1.ネットストーカー型

 ネットストーカー型は「え、いつ寝てんの?働いてんの?」と思うぐらいにインターネットに張り付き、彼と彼にまつわる女の情報を収集し、妄想の大伽藍を構築します。

 ネットストーカーの朝は早い。起床後すぐ、彼のTwitter、Facebook、Instagramを5分でクイックにチェック。
ファボをしている&されている女性アカウントを見つけては「またこの女と絡んでる」「4日前にも絡んでいた、多すぎ」「最近このアカウントは動いてない」とニュースコメンテーターのごとく一言批評。
新規アカウントがあればタイムラインを産卵期の鮭のごとく遡り、少しでも怪しければ非公開リストにぶち込みます。

 彼と一緒にいる休日は、風呂に入っている時や寝ている時を見計らってスマホのロックを解除してLINEを確認します。
あるネトスト女子は、液晶についている指紋跡を触る前に記憶しておき、画面をいじった後に同じような指紋跡をつけるという偽装工作をしておりました。スパイっぽい。

 1人の休日には、絡みが多い女性アカウントトップ5を、目と腰を据えてじっくり調査。
彼といつ何経由で知り合ったか、会社と誕生日と彼氏の有無、結婚歴、推定住所、学歴、ブログ、使っているWebサービスなどを掘り当ててはまとめていきます。

 さて、このように毎日毎日インターネットとスマホに張り付いて大好きな彼にまつわる情報を収集しまくるモチベーションはどこからやってくるのでしょうか?
愛?彼のことを全て知りたいから?ノンノン、不安です。

 不安の原因が本人にある場合は「彼に愛されているのかわからない」「彼がモテるからかわいい子に取られるんじゃないか」「裏切られるのが怖い」といった自信のなさがメイン。
彼の場合は「彼に浮気の過去がある」「そもそも自分が浮気相手で彼女にのし上がった」といった相手への不信が挙げられます。

 情報がたまればその疑念や不信、自信のなさは晴れるのかといえば、答えはノー。
むしろノイズ情報が増えるせいで疑念と不信はさらに募るばかり。
でも本人は「まだ情報が足りないからだ、もっと見ないと」と、トイレに行く間もネトストを欠かさなくなります。
検索履歴と監視用の鍵付きサブアカウントは、疑念と執着で真っ黒。

 1人でこの暗黒感情を処理しきれなくなると友人たちに「このアカウント絶対彼のコト好きだよね」「この子、ツイートして5分以内にリプしてるんだよ。」「彼のLINEが未読だった金曜夜にこの女も活動見え透いてる」この投稿、彼女である私のことディスってるよね?」「この時間、あの女も彼もオフラインで、飲みのはずなのに彼のLINEレスなかった。2人でホテル行ってたのかな?」などと被害妄想の愚痴を言いまくって、周りから満場一致で「やばい子」認定されます。

 本当は好きな人から好かれたかっただけなのに、ネトスト黒魔術で生成されるストレスに耐えきれなくなってブチ切れて振られる、浮気の証拠を見つけて修羅場で別れるなどの結末を迎えがち。
別れた瞬間に暗黒モードが最高潮に高まり「やっぱり私の疑念は正しかったんだ!」と高笑いして周りがドン引きして黒歴史☆