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  • 2012.12.21

クリスマスにあえてここへ行け!~聖夜のオンナ修行~第2回:“聖夜の一人カラオケ”で喝!

自分と向き合う現代の庵、それが一人カラオケ

By Mike Monaghan
©By Mike Monaghan

 「クリスマスに仕事が入ってしまった」……と彼に言われたそこのあなた!
さびしいですね。つらいですね。ありえないですよね。

……なんて言ってもらえると思ったら大間違いです!
このご時世、クリスマスという稼ぎどきに仕事があるなんて、あなたの彼は恵まれています。
よっ! 幸せ者!!

 それに、クリスマスに浮かれている人の数だけ、それを支えている人の働きがあることを忘れてはいけません。
イルミネーションが5回点滅するたび、それはどこかで誰かが「カ・セ・イ・デ・ル」のサインなのだと心得ましょう。

 そんなクリスマスを「修行の日」と位置づけ、あえて自分を見つめ直す機会にしよう、というこの短期集中連載。
今回、みなさんにご提案する“修行プラン”は、一人カラオケです。

「おいおい、クリスマスに一人カラオケなんて、それこそかわいそうな女だと思われちまうよ! 
オイラはそんなのごめんだよ!」

 いま、なぜか読者のすべてが岡本夏生だったと仮定してしまいましたが、そういう人にこそ私は「喝!」を贈りたい。
一人カラオケは、私たちがクリスマスの呪縛から解き放たれるための、たったひとつの冴えたやりかたなのです。

 なによりもまず、カラオケルームは個室であり、密室です。
街行く余計なカップルを目にしなくて済むので、じっくり自分ひとりと向き合うことができます。
まさに現代の庵。修行僧のためのプライベートルームです。

 そして、歌う曲は思い切ってクリスマスソングに限定しましょう。
そうですね、なるべく浮かれた楽しげな曲をチョイスするといいと思います。

「恋人がサンタ」とか言ってる女は騙されている!      

By uka0310
©By uka0310

 たとえば、松任谷由実の『恋人がサンタクロース』
クリスマスの定番ソングですが、歌詞をよく見ると、人がいかにムードに流され軽率な行動をしてしまうかがよくわかります(http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=36892)。

 この歌の主人公は子供の頃、隣に住む年頃のお姉さんに“20時になるとうちにサンタがくるの♪”といきなり言われます。
まだ年端もいかない子供にそんなことを言いだす時点で、だいぶ浮かれた女です。

 もちろん、子供にはサンタが恋人のことを指しているとはわかりません。
すると、「あなたも大人になればわかるわよ♪」とか言ってウィンクしてくるのです。
マジで超うぜえ。
色ボケした女のノロケを聞かされる子供の立場に、思わず同情してしまいますね。

 それに、仮にこの年のクリスマス・イブが、今年と同じように休日だったとして、20時にならないと男が来ないのは、ちょっと遅くないでしょうか。
外に出かけることもせず、彼の家にも行かせてもらえず、自宅待機を命ぜられている女。
二股、もしくは不倫という言葉が頭をよぎりますね。

 しかも歌詞の続きを見ると、彼女はあるとき、男に遠い街へ連れて行かれたまま、それっきり戻ってこなかったというではありませんか。
ホストの男に入れ込んでしまい、「ウシジマくん」的な展開に巻き込まれた可能性も十分に考えられます。 いずれにしろ、ロクな恋はしていません。

 主人公にも、大きくなって男ができたらしく、「明日になれば、あのときお姉さんが言ってたことの意味が、私にもわかるんだ♪」とか言ってますが、わかったらダメだと思います。
そもそも、明日にならないとわからない時点で、その女もきっと騙されているでしょう。

 このように、クリスマスソングの歌詞を冷静に見つめ直してみると、そこはイタいシチュエーションの宝庫。
それを反面教師に、「自分はきちんと地に足の着いた恋をしよう」と思えるはずです。

“自分に酔ってる”系の悲恋ソングは替え歌で乗り切れ!

  また、クリスマスの定番ソングには、失恋や悲恋の歌も想像以上にたくさんあります。
B’zの『いつかのメリークリスマス』や、山下達郎の『クリスマス・イブ』、稲垣潤一の『クリスマスキャロルの頃には』などは、実はいずれも幸せとはほど遠いクリスマスを描いたものです。

 だからといって、これらの歌を感情移入しながら朗々と歌い上げてしまうことを、一人カラオケではオススメしません。
なぜなら、切ない系のクリスマスソングは、「恋人がいない(かつてはいたのに)」というただそれだけの現状を、必要以上にセンチメンタルに、ドラマティックに描こうとしすぎているからです。

『いつかのメリークリスマス』(http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=57358)は、言ってしまえば「元カノにプレゼントしたあのイス、すげー高かったし持って帰るのも大変だったのにな…」という未練を、ポエミーに盛っただけの恨み節です。

『クリスマス・イブ』(http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=36969)は、もうフラれてるのに「どうせ君は来ないんでしょ…」と被害者ヅラして、“雪になっても朝まで待ってるけなげな俺”というシチュエーションに酔っている粘着ソングです。
「♪サイレンナーイ、ホーリーナーイ」は、「際限ない、懲りない」と言い換えて歌うべきでしょう。

「クリスマスなのに私は…」というむなしい気持ちは、クリスマスへの憧れやしがみつきを、いたずらに強化してしまうだけ。
やがてそれは、「切ない気持ちにひたりたい」「こんなかわいそうな私を慰めてほしい」という甘美なナルシズムへと肥大していき、“自分に酔いしれたい”だけの勘違い女を生み出してしまいます。
それでは修行になりません。

 いっそ、切ない系ソングを歌うときは、センチメンタルな気分からは距離を置き、現実に即したリアリティのある歌詞に替え歌をしてみてはどうでしょうか?

 たとえば、『クリスマスキャロルの頃には』(http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=37154)は、もうふたりの仲は冷え切っているのに、「クリスマスまで待てば、なんとかなるかもしれない」と思っているふんぎりの悪い歌です。
これを、次のように歌詞を替えて歌ってみるのです。

クリスマスキャロルが
流れてるうちに
あせって出す答えは
きっと間違いだろう
クリスマスムードに
流されてるから
彼を愛してるとか
イヤな見栄はるでしょ?


…ね、クリスマスの呪縛からみるみる解き放たれ、心が軽くなっていく感じがしませんか?
それでこそ心の修行です。

 クリスマスはぜひ一人カラオケに行って、甘えたクリスマスソングに「喝!」を入れてみてください。

Text/Fukusuke Fukuda



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ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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