堀川理万子-絵本作家の顔も持つポップな色彩の画家

 子供向けの絵本や児童書のイラストを見ていると、思わず笑顔になるかわいいものや、独特の世界観に引き込まれてしまうものなど、それだけでひとつの絵画としての完成度が高いものがありますよね。
それもそのはず、絵本のイラストの中には、単なる挿絵としての域を超え、美術界の一線で活躍している画家の手による作品も多いのです。
 堀川理万子さんも、これまでにたくさんの絵本、児童書の挿絵を手がけた画家のひとり。
キャンバスに水性の下地をつくり、そこに顔料と糊を練り合わせて描くテンペラと呼ばれる技法で描かれた彼女の作品は、かわいらしい色彩とやわらかい風合いが特徴です。
また、独特の遠近法で表現されたゆがんだ空間は、ふしぎな作品世界を生み出して見る者をふんわりとしたやさしい気持ちで包んでくれます。

 これまでに、『花さかじい』や宮沢賢治の童話などに挿絵を描いているほか、『おへやだいぼうけん』『きえた権大納言』など、物語からオリジナルで考えた絵本もいくつか手がけている堀川さん。
そんな彼女の個展が、4月5日(木)から11日(水)まで東京・銀座の相模屋美術店で開催されます。
 夕景にたたずむレンガ作りの教会を描いた『風のかげ』や、ホームの遠近感に特徴のある『駅』など、「暖色」をテーマに描かれた新作16点は、絵本の中だけでは味わうことのできない、こまやかなタッチまでをも直に目にすることができるチャンス。
まだまだ距離の縮まらない気になる彼や、ちょっぴりケンカしてしまった彼とのデートも、きっとほっこりあたたかい気持ちで過ごせるはずですよ。

名称:堀川理万子展
会期:2012年4月5日(木)~11日(水)
会場:相模屋美術店(東京都中央区銀座5-6-9)
開場時間:11:00~19:00 ※7日(土)、8日(日)は~17:00
入場料:無料
問合せ:03-3571-1222
URL:https://www.sagamiya-art.co.jp/

Text/Fukusuke Fukuda