フランス人カップルはよく一緒に暮らす、いわゆる「同棲」状態が大好き。
留学時代は寮に住んでいたのですが、付き合うとどちらかの部屋で一緒に暮らす人が多くびっくりした覚えがあります。
寮の部屋ってかなり狭いのに……。
それもそのはず、20-30代カップルで結婚しない状態で暮らしている、フランスの「同棲」カップルの割合は、日本の約20倍。
婚姻数と同棲数の合計は全人口比で同じくらいの割合なのですが、「同棲」率が全くちがいます。
同棲している女性は尻軽?
「同棲」という言葉だけで、なんだかイヤらしい響きがする……と言う人が、若い人たちの中にも相当数います。
結婚してないで一緒に暮らすなんて、軽々しい……というような。
では、フランス人に比べて日本人がそんなに貞操観念が強いのかと言うとそうでもなく、コンドーム会社デュレックス社の調査によると、日本人の女性の総体験人数はフランス人女性の1.5倍という結果も。
同棲しないことが、貞操を重んじることに繋がっているという訳でもなさそうです。
「付き合う」=「暮らすこと」
フランス人の同棲カップルにそんな話をすると、彼らから返ってくるのが、国民性なのかシニカルな笑いとこのフレーズ。
「一緒に暮らしてみないとわからない事いっぱいあるじゃない?」
確かに、ともに暮らすことでそれまで別々に住んでいたのではわからなかった相手の新しい姿を見ることができるようになります。
トイレの蓋を開けておくのか閉めるのか、賞味期限は守る派か多少過ぎても捨てない派か、掃除はどのくらいの頻度なのか、友だちを部屋によく呼ぶのかそうじゃないのか……などなど。
それ以上に、相手の姿を間近で見つめるのに、共に暮らすという形が欠かせないと考えるのは、その窮屈さと引き換えにしてでも相手のパーソナリティを知りたいという欲求からくるのではないかと思っています。
「恋」とは暮らしを考えること
フランス人女性にとって、共に暮らしを考えて、設計して行ってくれる人こそ恋する相手。
「同棲」の段階でそれができる人なのかどうか判断したいと思っているようです。
日本では「“暮らし”は結婚相手と考えるもの」とする文化が強いように感じます。
つまり、タダの恋愛関係ではそこまで考える必要はない、と。
フランス人は「暮らしていける人」かどうかを、“引き返せる段階”で判断することで、よりベストな恋の相手を見つけ、日本人はそれを結婚という“引き返せない状態”で知ることで、我慢する。
どちらが良いとも言えません。
どちらでも、Comme tu veux! (お好きなように)と言えるようになればいいですね。
Text/Keiichi Koyama