――猥談4種類に共通したコツはほかにありますか？

1つの猥談でも、ショートとロング、それぞれのバージョンを持っておくこと。そうすればどんなときも話せます。

あと、何度も人に話すのがいいですね。恋バナもそうだと思うんですけど、何度も話すとウケる流れがわかってくるんで、話を揉んでいくのが大事です。大体3回目ぐらいで面白くなるので。

――おすすめの手順はありますか？　時系列で話すのか、結論から先に言うのか。

笑える系と驚き系は、結論を最後にもっていったほうがいいですね。予告ホームランは難しいんで、普通に時系列のほうがいいです。

あるある系はショートでいいと思うんですよ。「そういうことあるわー！」って言って、そのあと各々で話す。

僕の好みかもしれないですけど、切ない系は最初に結論を言われると「なにその話！」って味わいながら聞ける。「初恋の彼女が寝取られちゃって……」って話が始まったら「どうして！　切ない！」ってなってく。もう妻が余命1か月みたいな、結末からわかってくタイプの映画です。わかってるんだけど切ない。

話し方も、僕は笑いながら話すんで、笑いながらがいいですね。切ない系は、当時を思い出しながらアンニュイな顔をしてほしいです。「そんな顔する！？」みたいな（笑）

――じゃあ最近聞いた切ない話は？

これは切ない系といっても、ガチ切ない話なんですけど。
妊娠してるときに性欲がどんどん強くなった妊婦の人がいたんですよ。その人は結果的にSMにどっぷりつかっちゃったから「月に1回はSMバーに行かないと、子育ても家事もできない」って言って、旦那と和解したんです。でもそこまでに5年かかったと。

その人は妊娠中にオナニーが止まらなくなっちゃったんですけど、旦那は胎児への影響が怖いからセックスできなくて。
でも、どんな本を読んでも「性欲は減退します。旦那さんのことを気遣ってください」って書いてあった。「私は朝から晩までオナニー漬けだぞ！？」と。

――前例が見つからないんですね……。

それで妊娠してるときに出会い系を始めて、調教師の人に出会って。調教師の人は「今まで人妻とか高齢の人とかいろんな人がいたけど、みんな卒業していったから大丈夫だよ」って言ったらしいんですけど、彼女は5年くらいずっと調教師にハマって「私、卒業できねえじゃん！」みたいになった。

他人の話だと喜劇なんですけど、本人から聞いてるとガチのやつなんで僕も「切ない！」ってなりました。旦那に愛はあるんだけど、身体はもう止まらない。

その人にすごい言われたんですよ。「1人の人が好きで結婚してるんだけど、コントロールできなくて満たされなかったらどうしますか？」って。その人は制御できないんです。切なかったですね。

――泣いちゃう。

――さりげなく猥談を切り出したいとき、良い口火の切り方ってありますか？

僕はエロデューサーを名乗ってるから、出会って15秒くらいの人に「人に言えない性癖があるんです」って切り出されたりするんですけど（笑）

それがない人なら、「最近、猥談バーができたらしいよ」とか。ちょっと宣伝くさくなっちゃいますけど、いい感じの踏み台に使えると思うんですよ。

――え！　それ最高ですね。言いやすい。

実際、多いみたいです。というのも、猥談バーのスタッフは女の子が多いんですよ。で、大体みんなTinderをやってるんですけど、「普段何してるの？」って聞かれたら本業を言わないで、「猥談バーでスタッフとかしてるよー」みたいな。

向こうも「それポインティのやつ？」って食いついてくるから、「そうするとエロい話がしやすいんだよね～」ってスタッフが言ってて。「けっこう口実に使ってんなー！」と思いました（笑）　そこから「猥談といえば～」って切り出しやすいですからね。

――完璧だ。今度から使わせていただきます。

Text／AM編集部