人間は元々盛る文化だった!?

紫原

ただその上でひとつ、アイコン問題ってあると思うんですよ。
SNSに載せる写真ってかなり盛れるじゃないですか。会ってみると写真で見ていたのとは別人だった、みたいな。そういうことがリアルな恋愛の障害になったりしないんでしょうか?

それでいうと、肖像画って盛るのが前提じゃないですか。ペリーの肖像画だって、教科書に載ってるやつはあんなにカッコいいけど、リアルはよぼよぼのおじいさんなんです。すごい盛ってますよあれ。つまり、人間は延々と盛ってきたんですよ。
J-PHONEとかの写メが現れたころはまだモサモサした画像で済んだ。だけど、デジカメが普及しはじめて、しかも変に高解像度になっちゃった今は、素顔がサクッとそのまま出るという、恥ずかしいレアな数十年だったんじゃないですかね。

紫原

そうか。カメラが登場してすぐも、わざわざ写真館でキメキメで撮ってたわけですもんね。盛るのがデフォルトなんですね!

編集部

そう言われると、もっと盛っていいかって気分になってきます。 ペリーもやってるし、 って。

はあちゅう

盛ることに慣れているか慣れていないかで、恋愛の楽しさも変わりそうですね。Tinderなどを中心に、出会い方のバリエーションも増えているし、恋愛のドアは確実に開かれていますね。
だから、もし「あれ、ちょっと違うな」って思われたとしても、実際に会う時間よりインターネットの接触時間のほうが長いわけだから、そっちを整えておくほうがいいんですよ。

紫原

会うのは数時間でも、SNSは長い人だと一日中見てますからね。

はあちゅう

「かわいい」という印象はメイクと加工の技術がかなり大きいみたいなんです。だから、うまく加工された顔の方がメインだと相手に刷り込めばいい。

1年に1回くらいしか会わない人でも、SNSでは毎日見てるって人いますからね。そのうちハンドルが本名になるんじゃないんすかね。

はあちゅう

あ、それは実際にそうですね。私は電通時代から「伊藤です」では通じなくて。「はあちゅうです」って言って電話とってました。

紫原

すごい。それは自分のブランディングの一環ですか?

はあちゅう

それはいつの間にかですけど…。盛ることもブランディングの一環ですし。うまく盛ってる人たちにみんな学ばないといけないと思います。

紫原

ちなみにブランディングがしっかりできてる女性って、恋愛の相手にもブランディングができてることを求めるんでしょうか?

はあちゅう

そこは好みが別れると思います。インフルエンサーの友達の中には「彼氏にはiPhoneすら持ってほしくない」という子もいますから。
私は逆にネットリテラシーが違いすぎると会話が続かないので無理ですし、Twitterのつぶやき方が寒い男ってやだなって。

付き合ってる人がbotに返事とかしてたらいやです(笑)。

紫原

たしかにそれはいやですね……(笑)。

Text/紫原明子