先日、女子会にて、性に奔放なAM編集部員が最近の自分の性事情について話したところ、その場に居合わせた友人から「もっと自分のこと大切にしなよ」と呆れ顔で忠告されたという話がありました。
自分の好きなように恋愛やセックスをしているだけなのに、なぜ周囲から横槍を入れられるのか…。と忠告されたAM編集部員は不満げな様子です。
女子会で言われたように「性に奔放な女子は、自分のことを大切にしていない」のでしょうか?「自分のことを大切にする」とは、一体どういうことなのでしょうか? そもそも「自分のことは大切にしないといけない」のでしょうか?
これらの疑問に答えを出すべく、AMはエッセイストの中村うさぎさんにお話を伺いしました。うさぎさんがAMに登場するのは、2013年の特集「甘えと依存」でのインタビュー以来、約5年ぶりのことです。自分の足場が定まらない、自分の生き方に自信がない…という女性は、ぜひ読んでみてください。
援交女子たちは「自分のことを粗末にしている」のか
──「自分のことを大切にしなよ」と言って、他人の恋愛に横槍を入れてくる人たちは、どういう心理からそんなことを言うんだと思いますか?
中村うさぎさん(以下敬称略):これ、もっとも言われてるのが援交してる女子たちですよね、本当に根拠がないと思うんだけど。好きでやってるのに他人から「自分を粗末にしている」とか、「魂が穢れる」とか、「自分を貶めている」とか言われる。
性的なことになるといきなり神聖化して、「女の性は神聖だから、容易に分け与えちゃいけない」ってさ、男はいうんだけど、それって自分が独占したいだけじゃん!
──ああ、そうか!
中村:誰ともやりたくない人はやらなくていいし、やりたい人はやればいいと。それはもう女の人が自分で決めることですよね。勝手に神聖化されるのは迷惑ですよ、ほんと。
自分の気持ちや欲望を肯定して生きることが「自分を大切にする」ということ
中村:「自分を大切にしなよ」って言われてさ、じゃあそもそも「自分を大切にする」とはどういうことなのかを考えなきゃいけないよね。
私は、自分のことを大切にするっていうのは、自分の気持ちとか、欲望とかを肯定して、自分の生きたいように生きることだと思う。それでしんどくなっても自己選択だから、それはちゃんと引き受けるってこと。
例えば他人から「これがあなたの幸せですよ」って言われて、そのままに生きることが自分を大切にしているとは思えない。いくつになったら結婚して〜、子供を産んで〜みたいなことを押しつけてくる親もいるじゃない。
──いますね~。
中村:自分が心の底からそうしたいんならいいんだけど、なんか違うと思いつつも、そうなのかな~とか思っちゃって、親の言うとおりにしたり、社会的な“正しい”に従順であったりするのは、自分を大切にしているとは言えないと思う。
だってさ、一流の大学出て一流の企業に務めるのが幸せとか。いまもうそんなことないでしょ! 仕事より趣味に時間つぎ込んでるオタクのほうが幸せかもしれないじゃん。
──実際に幸せかどうかは他人からはわからないですよね。。
中村:そう、幸せは主観的なものなので、自分にとって何が幸せかってことをちゃんと考えないと、何を大切にするべきなのかって答えが出ないと思うんですよ。
だから一度話し合ってみたいよね、他人に「自分を大切にしなよ」って言ってくる人と。その定義ってなんなの? って。まったく違う価値観で「幸せ」っていうものを考えてると思うから。
ただ、性的なこととなると、感染症と妊娠リスクもあるから、そこは自分を大事に守ってねって私は思いますね。
──そういう現実的なリスクについてはきちんと対策してほしいですね。
中村:自分で自分の身を守る知識くらいは付けてないとね、精神的にも傷つくことあるし。そういう意味では大切にしてほしいですよ。
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