男女のジェンダー差がはらむ支配と暴力をショッキングに告発する『先生の白い嘘』をはじめ、『おんなのいえ』『地獄のガールフレンド』など女性の生き方を鋭く見つめた作風で話題の漫画家・鳥飼茜さん。今、最注目の彼女に、規範にとらわれない「30代からの恋愛」のあり方を全4回で伺いました。
最終回の今回は、「不変の恋愛感情はないのか?」という永遠のテーマが議題に上りました。
■第1回「借り物の価値基準に振り回されないで」はこちら
■第2回「他人の評価に自分をゆだねない」はこちら
■第3回「自尊心は恋愛以外でキープしよう」はこちら
「この人しかいない」と「ダメだったら別れればいい」は共存できる
――恋愛って、いったん冷めてしまったら相手の何もかもが嫌になったりするじゃないですか。そんな不安定で不確かな感情と、継続的なパートナーシップって両立できるものだと思いますか?
鳥飼茜さん(以下、鳥飼) 難しいこと聞きますね(笑)。たしかに私も、別れた相手のことって生理的に受け付けない感じになったりもします。だからといって、「言うても金あるしな」みたいな客観的な評価軸で相手を選んだほうがいいとは思わないですね。
長期的なパートナーシップや信頼関係って、どれだけ相手のことを許してきたかという積み重ねがものを言うところも大きいし、それを左右するのは結局、相手に魅力を感じているかどうかだと思うんですよ。魅力を感じているうちは、この感情は確かなものだと思うしかないんじゃないでしょうか。
それでダメだったら、そのときは別れればいいんですから。「この人しかいない」と、「ダメだったら別れればいい」は、いいとこ取りの同時進行でもいいんじゃないかな。「この人しかいない」と思っていた人とダメになっても、それを受け入れられるのが理想の生き方だと思っているので。
――鳥飼さんご自身も、一度離婚の経験があるんですよね?
鳥飼 ダメだったらやめればいいと思って結婚して、本当に離婚したんですけど、私はそれを失敗だとは思っていなくて。もちろん、子供がいたら配慮しなきゃいけないし、責任を持ち続けなきゃいけないけど、そのせいで子供がかわいそうとかはあんまり思わないです。私自身の親も離婚していて、母に育てられたようなものなので。
元夫とは今も人間関係は続いているし、お互い最低限の気遣いやコミュニケーションが必要なことに変わりはないので、結婚自体をどうしても続けなきゃいけないものだとは考えていないんですよ。
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