前回の「見詰め合うだけで濡れるディナー」も合わせてどうぞ。
放送中のドラマ『たべるダケ』から読み取る
食事と色事の共通点
ひたすら食に興味を示し、豪快に食べる女を主軸にした現在放送中のドラマ『たべるダケ』(テレビ東京)。
第一話目からいきなり、主演の後藤まりこがアイスクリームを食べるシーンが強烈でした。指で支えるコーンの登頂に丸く大きく張ったアイスクリームを、上から大口を開けてくわえこみ、溶けていくアイスがくちびるからこぼれ出して口もとを汚すと舌を回してすくい取り、食べる。
「いただきます」「ごちそうさま」以外のセリフはなく、目の前の料理をただただ「たべるダケ」。そんな様子を、いっしょに食事をしたもうひとりの主人公・柿野(新井浩文)は「優雅で、豪快で、ちょっとエロかったなあ」と評します。
なぜ「食べる」という行為はエロいのか?
性器と同じく、くちびるや舌は粘膜ですし、外部と内部の橋であり、何より快感は粘膜同士の接触から生まれるという点で共通します。性器とくちびるの色は同じ……なあんてことも、まことしやかに言われています。
『たべるダケ』で、ひょんと上がった口角をした後藤まりこのキュートなくちびるが大ぶりなカツをくわえこみ、こぼれ落ちる肉汁を指ですくい舌でなめる様がエロティックに見えるのは、彼女の食べる姿がそういう行為を連想させるからでしょう。「噛む」「くわえる」「なめる」「飲む」、食事にまつわる動詞が色事にも通じるのは、きっとそういうこと。
ドラマのオープニング映像でも、ケーキ、桃、ぶどうを口もとに運ぶところがドアップでこれでもか! と映し出されます。
しかし、彼女の食べる様子はあくまでも爽快。下品さはありません。
くちびるは性器を連想させると書きましたが、ローラちゃんが繰り出す、キュッと結んだくちびるの端から舌を出す、ペコちゃん風のアノ行為。わたしからすると、アレは女性器のアピールにしか思えないのですが、ローラちゃんのキャラと顔面でやられると、エロさよりかわいさが勝る。しかし、サブリミナル効果のごとく、女子ウケのかわいいのなかにエロスを潜ませているのではないかとにらんでいます。