都合のいい同士でも成り立つ
それが結婚のからくり
―なるほど、危険ですね。アリ地獄のようなやばい状態になりそうです。
LiLy:“結婚してもらいたい”、“もう仕事やめたいし、養ってもらいたい”という女性たちによる婚活って、下から目線かつ受け身でいるように見えながらも、その内容はけっこう図々しい。そして、その条件にかなう男性だって、当然女性にもちょっと図々しい条件を求めているもの。たとえば『金』と『家事』。それが交換条件のように一致して結婚するのはもちろんひとつのゴールだけど、さっきの本命論でいうと、『愛は?』となる。
そもそも「恋愛と結婚は別」だという割り切った考え方ならば、“愛という意味での本命”はそもそも目指していないということになるわけだけど、でもたぶんそうじゃないんですよね。漠然と「しあわせになりたいから結婚したい」と思っていて、「婚活」をはじめると条件ばかりが気になって、でも愛情なくしてしあわせなんて成り立つはずがないということも分かっていて、そのジレンマに陥るんだと思います。
―婚活に違和感を感じてきたのですが、それを明確に言葉で表していただいた感じです。
LiLy:婚活はもちろん、悪いことではないけど、条件的になってしまうところは男も女もお互いさまなんですよね。
結婚はしてもらうものでもしてあげるものでもなく、ふたりの人間が一緒に生きることを共に選択するということ。焦りや迷いで自分が何を求めているか分からなくなった時こそ、頭の中の原点回帰が必要です。本来シンプルなことを頭の中でぐちゃぐちゃに複雑にしてしまっていては混乱するばかりだから。
でも、自分自身はシンプルに考えていても、相手が……という話も最近よく聞きます。たとえば、独身の女友達(31歳)が、「30代になって周りの男が変わった。同い年くらいの男たちが、結婚を意識してその条件にかなうかどうかという“厳しい目”で自分をみてくるのを感じる」と言っていて。
婚活をしている20代の女の子が男性の年収を意識するように、婚活をしている30代の男たちが、どういう食材を買うのか、金銭感覚とか、家事能力とかに注目しているのを感じるらしいの。そして最近は不景気だし共働きもあたりまえの時代だから、女性の年収を男性が気にするという意見だって少なくない。女側は、純粋に恋愛をしたいと思っていても、男側が結婚を意識して条件的になっている場合もあるみたい。
でも逆に考えれば、相手が求めるラインをクリアすれば「結婚」相手に選ばれるわけですよね、彼にとって都合がいいから。そんな彼が自分にとっても都合がよければ、結婚は成り立つ。それが、“結婚=本命のからくり”ですよね。