“ジュブナイルポルノ”とはその内容や表紙、中イラストなどが、アニメやライトノベルの“萌え”を意識したかたちで書かれた官能小説の一ジャンルです。萌え業界の定番用語である“ツンデレ”の進化系というべき『ツンマゾ!』。
そのヒロイン・ツンマゾ少女の鷲尾真子を“調教”するハメに陥ったのは、学校の廊下で真子の落とした巾着袋を偶然に拾ったクラスメイトの北野健児。
袋の中身を見られたと勘違いした真子は、健児を自宅へと連れ込んで――。
真子は身を翻し、部屋の隅に置いてあった通学鞄から例の巾着袋を取り出し、乱暴な手つきで開いた。
「お、おい! 誰がそんなことをしろって言ったよ!」
ちょっと好奇心が疼くのは否めないが、いやがってる女の子の秘密を暴くことに気分が悪くなるのも事実だ。
彼女の手首を握ってとめようとしたが、その時にはすでに口の開いた巾着袋が床に叩きつけられたあとであった。
こぼれだしたのは――半球状のマッサージ機と、オレンジ色の輪ゴム。
「……肩が凝ってるのか?」
「この期に及んで、まだとぼけるのね! 外道王! 変態王! 地味王! 空気! エアバッグ!」
最後のほうは地味に効いたが、それはともかく。
いくら手首を握っても、脳天沸騰した真子の口までとめられるはずもなく、一世一代であろう彼女の大告白を健児はふたりきりの部屋で聞くことになった。
「わ、私は! 学校のトイレで、輪ゴムでクリトリスをギュッとして、電マオナニーしてイキ狂うようなマゾ女です!」 (『ツンマゾ!』P24P11-P25P11)
これぞまさにマゾの鏡。そうです、自分がマゾだということを告白することはそれくらい勇気が必要なはずなのです。それなのに『自称ドM』女たちといったら……(奥歯ギシギシ)。
【後半に続く】
後半は『ツンマゾ!』について更に掘り下げていきます。
お楽しみに!
Text/大泉りか
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