
タイに通い始めた2000年代、一緒に行ったLという男が「すごい場所があるんだぞ! 一緒に行くぞ!」と言い、シーロムというビジネス街と歓楽街が道を挟んで並びあっているエリアへ行った。パッポン通りはいわゆる「ゴーゴーバー」という、水着姿の女性が壇上にいて、気に入った女性がいたら外に連れ出すことができるという店だ。ターニャ通りは当時羽振りがよかった日本人ビジネスマン向けの店が揃ったエリアで、店の前には露出の激しいタイ人女性がたくさんたむろしている。
ゴーゴーバーの男性版に行ってみたら
その2つとは別の筋には、ゴーゴーバーの男性版ともいえそうな店が数軒あった。2025年に行った時も同じエリアに同様の店があったが、店名は変わっていたし、そこで展開されるショーも変わっているかもしれない。あくまでも2000年代前半の話である。
入口で1ドリンク(缶ビール)を100バーツ(当時350円)支払って中に入る。全体的にピンク色の空間になっており、ベンチ式の客席には、白人の男が多数いた。一人で来ている客が多いようで、3人で来た僕らは珍しい部類だった。日本人男の姿はザッと見ていなかったが、日本人女性は1人いた。
これから何が始まるのか、というところで、ジャジャジャジャーンと音楽がなり、ディスコ風の爆音が開始し、ブーメランパンツだったかフンドシのようなものを身にまとったタイ人の若い男がマントを首から巻いて出てきた。MCが「ナンバーワーン、ミスターナントカカントカ―!」というとNo.1は勃起したイチモツを根元から持ち、堂々とステージ上を一周し、止まる。どうもブーメランパンツにはイチモツを外に出す穴が開いているようだった。
そこから「ナンバーツー、ミスターナントカカントカ!」と次々と出てくる。いずれも見事にフル勃起しており、観客は食い入るように勃起軍団を見ている。要するに、お気に入りの男を物色し、店内で少し一緒に呑んだ後、外へ行くという流れのようだ。この場で客席に呼ばれる男もいたが、多くは控室の方へ引っ込んできた。
しかし、その中に一人、僕ら3人の隣の席にやってくる男がいた。パンツには「69」とある。一緒にいたLは「ニノミヤ、お前、このナンバー69に好かれたみたいだぞ」とニヤニヤしていた。僕は彼に200バーツを渡し、他の客を相手してやってください、と伝えた。
「これで終わりですか?」とLに聞いたらニヤニヤして、「ここからが本番だ。日本ではこんなショーは見ることができないぞ」と言う。
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