セックスで本音を引き出すのは難しい
この連載ではいつも「刺激の好みは人それぞれ。相手に刺激を与えている時には常に反応を見よう」「言葉でコミュニケーションを取ろう」と口を酸っぱくして言っています。もう聞き飽きた人もいるかもしれませんが、やっぱりセックスで本音を引き出すのは本当に難しいですよね。どんなに注意深く反応を見ていても、どんなにを使ってコミュニケーションを取っても、どれだけセックス回数を重ねても、相手の100%の本音を引き出すことはできないんだとしみじみ思います。
長年セックスしていて互いに身体の相性がいいと思っている関係でも、ふとした行動でヒヤッとすることは誰にでもあるんじゃないでしょうか。私にも長年ハメ親しんだ相手とこんなヒヤッと体験がありました。
ヒヤッと体験
いつも通り「知ってる知ってる。ここだよね。手コキは裏筋側も好きだけど反対側のカリも好きなんだもんね。フェラは速く動かすより顔見ながらゆっくりの方が好きだし、ハグできる体位の方が好きだよね」と、知り尽くした身体を堪能していたところ、いつも盛り上がる体位で突然の中折れ。「この体位の時はいつも目を合わせて盛り上がるところなのに……なぜ?」と驚いてしまいました。それと同時に「私への興味がなくなったからなのでは?」「私の締まりが悪くなったのでは?」と不安が頭をよぎります。
幸いすぐに復活して再開したものの、再び同じ体位で硬度を失ってしまいました。そこで彼が言ったのが「ちょっと刺激が強すぎてジンジンする」。
なんと、盛り上がっていると思っていたのは私だけで、実はその彼にとっては苦手な体位だったんです。先々週の記事でもお話ししたように、男性にも好みの体位と苦手な体位があるのですが、なかなか言い出してくれないんですよね。ストップをかけるほど不快ではないけれど、「気持ちいい」よりは「痛い」寄りだったのだと思います。私が明らかに興奮していたことから無理させてしまったんでしょうね。申し訳なさと同時に「そんな大事なこと早く言ってくれたらよかったのに」と残念な気持ちに。
お互いに85%くらいの本音を
私もセックスの達人ではないので、こういったヒヤッと体験は何度もあるのですが、そのたびに「セックスで100%の本音を引き出すことは不可能なんじゃないか」と感じます。
思い返してみると、私自身もベッドで常に100%の本音で接しているかといえば、そうではないからです。相手の気持ちよさを重視して少しの痛みを我慢する瞬間があるし、してもらいたいことがあっても言い出すタイミングを失って言わずにいたりすることもあります。しかし、100%の本音を出せなかったからといってセックスに不満があるわけではありません。そう考えると、お互いに85%くらいの本音をベッドで出せていればハッピーなセックスと言えるような気がします。たまにヒヤッとしながらも新しい発見がある方が楽しいですよね。
書籍発売のお知らせ
初の書籍『新しいセックス』(扶桑社)が9/2に発売されました! 男性向けの内容になっていますが、言いにくいことの伝え方、女性の体の構造、女性が気持ちよくなるための挿入方法など、女性が読んでも役に立つことを考えて書きました。パートナーと一緒に気持ちよくなれるエッセンスがギュッと詰まった一冊です。
Text/BETSY