気弱そうなヤツであっても…

このとき、そこはかとない度胸をこの男に対して感じたのに加え、他の男達もピンサロ通いをしているだけにその手の羞恥心がなく、彼同様に度胸があることに畏怖の念を覚えてしまったのだ。大したことではないのだが、気弱そうなヤツであっても裏の顔はかなり大胆不敵だったりするものだ、と感じ入ったのだ。

さらに、こいつらにビビったのが、「風呂に入る前に行くのが好きだ」などと平然と言い放つことだった。男の中にはそんな凌辱プレイ的なことをしたいと考える者もいるので、そこは注意しておいてください。「彼氏が求めるから……」となんでもかんでも受け入れるのではなく、イヤなものはイヤと断るべきである。

ニノミヤ氏が耐えられないもの

そんなわけでピンサロに入ることは一生で一度もなかったが、もう一つ自分が耐えられないことがある。それはラブホテルの待合室である。中に入ると満室で、カップルが一組ソファーに座っている。その店は「休憩」が3800円と安いため人気があったのだが、このカップルと一緒の空間にいることさえ僕にはできなかった。すぐさま外に出て、5800円や6800円を払ってでも待合室に誰もいないホテルを探した。カネはないにもかかわらず、である。僕らの後に入ってくるカップルはしばらく出てこなかったため、あの2組は同じ空間で平然と過ごせたのだろう。

今でこそ数々のニノミヤ活動をこうして記憶を元に書いている僕だが、思えば性に関することは常に恥の概念とセットであった。そこを乗り越えてまでも人間は性を求めるものだと学生時代のピンサロ狂いの彼らを思い出す度にしみじみと感じ入るのである。

Text/中川淳一郎