離婚を武器に闘う女
打って変わって皮肉の効いたハリウッド産はっちゃけ離婚コメディもひとつ挙げておきましょう。その名も『ディボース・ショウ』。
私は「カタカナだから原題そのままのタイトルみたいに見えるけど全然違うシリーズ」に数えているのですが、原題は「Intolerable Cruelty」=「我慢ならない残忍さ」。どちらもわくわくするタイトルではないですか。コメディからスリラーまで幅広く独特のユーモアとセンスに満ちた作風で何を撮っても面白い兄弟監督、コーエンブラザーズの作品です。
本作の主役は成功した売れっ子離婚弁護士マイルズ。調子がよくてセクシーでほんの少しうさんくさい彼はジョージ・クルーニーのお得意な役柄ですね。
泥沼離婚裁判の結果は実際どっちが悪いかなんてことよりも、どっちが相手の弱みを巧みに突くかにかかっている。マイルズは向かうところ敵なしの現状にすっっっかり退屈していて、裁判でも同僚とずっとおしゃべりしています。それでもお得意の弁舌を振るうとどんな相手にもあっさり勝ってしまう。
敵は手強い方が燃える。何か自分を奮い立たせる高い壁、困難なミッションはないものか?
そんなとき舞い込んだ不動産王からの依頼。妻に動かぬ浮気の証拠を押さえられたものの、今すぐ差し出せる財産もない。おまけにセレブリティの間では当たり前に交わしているはずの婚前契約書も無いという。
話し合いの場に現れたのはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じる美しすぎる妻、マリリン。いや、美しいだけじゃなく、とびきりセクシー。そしてしたたか。こちらもぴったりの役どころ。
マイルズは一目でマリリンに興味を惹かれてしまいました。女性として魅力的なだけじゃない。彼女こそが待望の好敵手に違いない!
そう、マリリンは富豪の妻や元妻たちとつるみ、婚前契約無しの離婚で財産を狙う一種の結婚詐欺師だったのです。
マイルズの評判を知ったマリリンとしても、相手にとって不足なし。騙し合い口説き合う戦いの火蓋が切って落とされて……というお話です。
多少ぶっ飛んだ内容ではありますが、男女の主導権の奪い合いって常にスリルとときめきがセットになっている側面もあるんじゃないでしょうか。バトルもお互いをよく知る近道だったりする。
気が合うことも大切だけれど、上になったり下になったりイーブンな瞬間もあったりが人間関係の醍醐味。自分の予想を次々に裏切ってくれるような人と、それでも一緒にいられたら、人生もっと楽しくなるかもしれないなぁ。もちろん、ほどほどに!!
TEXT/気絶ちゃん
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