ただのいびきではなかった?
相変わらず地獄の谷に吹く暴風のような音を立てて眠っていたラマ夫が、急に静かになりました。
ヤッターいまちょっとだけ寝れる~! と思ったのもつかの間、私はふと違和感を覚えました。静かすぎるのです。いびきはおろか、小さな呼吸音さえ聞こえませんでした。え、待って……息してる?と思った瞬間、ラマ夫が「ブッッハァ!!」と大きく息をしました。それはちょうど、水に長時間潜っていた人が水面に顔を出した瞬間とか、鼻と口を塞がれていた人が解放された瞬間にするような、そういう種類の息の仕方でした。
驚く私の前でラマ夫は続けてハァハァと、出来ていなかった呼吸を取り戻すように大きく何度か息をして、再びいびきをかき始めました。この間、ラマ夫はずっと眠ったままです。隣で一部始終を見ていた私としては混乱するやら心配するやらですが、本人はスヤッスヤに寝ていました。
これはもしかしなくても「睡眠時無呼吸症候群」というやつなのでは? と思った私は、翌日ラマ夫にまたもや質問してみました。
「あなた昨日眠ってるとき完全に息が止まってたけど、自覚ないよね?」。ラマ夫の回答はもちろん無自覚だったとのこと。「最近ずっと疲れてるっていうのは寝てるときにちゃんと呼吸が出来てないからでは?」と伝え、早急に呼吸器内科の受診をすすめました。
これはラマ夫の偉いところなのですが、彼は私が受診をすすめた数日後にはちゃんと呼吸器内科へ行きました。たまにいるじゃないですか、病院行けっていってもなんやかんや理由付けて全然行かない人。ああいうのって繰り返されるともう心配するのがバカらしくなって、その本人のことまで心の中で軽んじるようになってしまうんですよね。まあうちの母親のことなんですけど。
さて、偉いラマ夫は呼吸器内科で睡眠中の呼吸を計る機械を借りて帰ってきました。私のいない平日の夜に計測し、病院へ提出。検査結果を聞きにいったところ、なんとラマ夫の呼吸は睡眠中に一番長くて2分間近くも止まっていたことが判明しました。2分て! いま試しにストップウォッチで計りながら息を止めてみましたが、35秒で限界でした。2分は長すぎます。死んでしまう。
医師の診断によると、中軽度の睡眠時無呼吸症候群とのことでした。治療法として、就寝時にマウスピースをつけて舌が喉へ落ち込むのを防ぐという方法を教えてもらったラマ夫は、呼吸器内科の紹介状を持って今度は歯医者へ行き、無事にマウスピースを作ってもらいました。
このマウスピースが絶大な効果を発揮し、ラマ夫のいびきはほぼ完璧(隣で寝ている私が気付かないくらい)に改善され、睡眠中に呼吸が止まることもなくなりました。
AM読者の皆さまの中に、もしパートナーのいびきがすごいという方がいらっしゃいましたら呼吸器内科の受診と、マウスピースの作成を強くオススメします! 睡眠時無呼吸症候群になっていなくても、マウスピースで舌を正しい位置に固定することでいびきが改善される可能性が高いです。
ちなみに、マウスピースを付けてきちんと呼吸しながら眠るようになったラマ夫に調子はどうかと尋ねてみたところ「前は殺される系の悪夢ばっかり見てたけど、最近はそんな夢を見ることがなくなった! 昨日の夢はみーさん(私)が出てきました」とのことでした。殺される系の悪夢ってそれ完全に「息止まってる! めっちゃ息止まってる! 苦しい!」って脳がなんかアレしてるやつやん。
そんなわけで、ラマ夫のいびき問題は「現状の把握」「認識の擦り合わせ」そして「医療の力」で解決することが出来たのでした。
次回は、引き続き一緒に暮らしはじめてから発覚した、ある不一致についてお話したいと思います!
Text/こはなみみこ
次回は<一緒に暮らすと大抵発生するけど、話し合いでのすり合わせが難しい問題 >です。
夫と同棲してある問題点に気付いたみみこさん。今まで様々な問題を話し合いで解決してきたみみこさんですが、今回の問題はいまだ解決策が見つからず……?
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