「し、死んでる」
担当者いわく、弟から相続放棄の書類が送られてきて、その件で何度か電話でやりとりをしたらしい。 「追加で必要な書類があるので、ここ1週間ほど毎日電話してるんですけど、何度かけても出てくれなくて」
先述の死亡フラグ発言を思い出して、イヤな予感がした。
その後、私も何度か電話をかけたが、留守電になるばかり。LINEで「連絡がとれないと家裁から電話があって、すごく心配してます。電話がイヤならLINEでもいいから返事をください」と送っても未読スルーのままである。 近況がわかるかもと弟の仕事用のブログとフェイスブックをチェックしたら、なんと二つとも削除していた。
「し、死んでる」
関ケ原の合戦ぐらいフラグ立ちまくりである。 やっぱり嫌がられても話を聞き出すべきだったか、東京まで会いに行くべきだったか…グルグル考えながら連絡を待ったが、なんのレスポンスもないまま5時間が経過。
いよいよ警察に連絡するか。そう思いながら、念のため弟のLINEに「連絡がつかなければ警察に連絡します」と送ってみた。
!?
速攻で既読がついた! 生きとったんかいワレー!!
「問題なく暮らしてます。心配しないでください」
その返信を読んで、私はガックリと床にひざをついた。
ああ…こいつは本当に自分のことしか考えてないんだな。私の気持ちなんか本当にどうでもいいんだな。警察を呼ばれたら自分が困るから、ようやく返事をしたんだな。
二度めの音信不通なのに、私はまだ弟を信じていたのだ。私が心配しているとわかって無視なんかしないはず、「俺の弟がそんなにヤバいわけがない」と。
それに、繊細な弟は父の自殺にショックを受けてると思っていた。だからしばらくそっとしておこうと。でも本当はショックを受けてるフリをして、面倒なことから逃げたかっただけなんだろう。
それなのに、私は医者の女友達に「弟の家の近くでオススメの心療内科はないかな?」と相談までしていた。なんでこんなにお人よしなんだろう、本当にバカみたいだ。
そう思ったら涙が出てきた。ついでにエシディシ泣きしようかと思ったが、オーディエンス(夫)がいないので張り合いがない。そこで家中の窓を閉めてから、血管が切れるほどシャウトした。
「ボケエエエエエエエエエ!!!! 200万返せやクソがあああああああああッ!!!!!」