「巨乳…何もかもみな素晴らしい」

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 夫のエロ本ライブラリーには、推定100キロ以上の外国人女性のヌード写真がみっしり詰まっていた。「これで抜けるのか?」と夫に問うと「もちろんだ、超セクシーじゃないか」との回答。

 夫がデブ専だと、妻は気楽ではある。「もっと痩せろ」とかダメ出しされるよりずっといいが、「全然太ってない、痩せなくていい」と言われるとつい油断して、デブに歯止めが効かなくなる。

 以前も中華料理屋で食べすぎて、ズボンのチャックが閉まらなくなった。その状態でトイレに行き、鏡に横向きに映った姿はまさに妊婦ヌードで「子どもが大きくなったら見せてあげたいなって…」と、子どももいないのにキラキラした目で語りそうになった。

 ちなみに川崎貴子さんと対談した際、年下のご夫君が素敵だという女優さんが大体50代以上で「そうか…お前、老け専か」と気づいた、と仰っていた。

 やはり人の好みは様々で、夫婦はマッチング次第なのだろう。

 夫のエロ本をめくると、100キロ級の女性が片ヒザをつき、巨乳をミサイルのようにかまえるガンキャノンのような写真が載っていて「デブ専かつ巨乳好きなんだな」と実感する。

「僕も巨乳好きですけど、あんまり大きすぎるのはちょっと…」と話す男子に向かって、夫は「キミはまだまだ白帯だ」と言っていた。夫のような黒帯になると「大きければ大きいほど、めでたい」という評価になるらしい。

 めでたいの意味がわからないが、真の巨乳好きは「巨乳…何もかもみな素晴らしい」と沖田艦長のような心境に達するようだ。

 同じく真の巨乳好きを称する男友達は「僕らみたいな原理主義者は、乳輪がでかいのはイヤだの乳首が黒いのはイヤだの、細かいことは言わないんです」と語っていた。

 たしかにハロウィンのオバケカボチャのような巨乳には、オバケサイズの乳輪がついていることが多い。

 かくいう私も十代の頃は「私の乳輪、でかいんじゃ」と今はなきMDと比べたりして、地味に悩んでいた。女子校の同級生たちと「竹定規で乳輪の直径を測って面積を求める」という試みをした時も、ダントツで一位だった。

 乳輪に関しても、夫は「でかい方がデラックス感があっていい」と評していたし、件の男友達も「名前も素晴らしいと思います、だって乳に輪ですよ?輪をもって尊しとなす」と語っていた。

 聖徳太子もこんなところで引用されるとは予想外だろうが、でかい乳輪を尊いと感じる男性もいるらしい。

「お前のそういうところがダメなんだよ!」と彼女を罵倒するような男は、乳輪や乳首にもいちいち文句をつけそうだ。そんな奴らに復讐するのに、PCを再起不能にする程度では生ぬるい、やはりアナルにカマキリの卵を仕込むべきだろう。

 3年後には東京五輪も開催されることだし、額に「輪」の文字を彫って、カマキリの卵の採取に出かけたいと思う。

Text/アルテイシア
※2017年4月18日に「TOFUFU」で掲載しました。

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