「初めての夫婦喧嘩」

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 友人に元ゲーム雑誌編集長のM氏がいる。同じくゲームオタクの奥さんと結婚15年目で、周囲もうらやむ仲良し夫婦だ。

 M氏は「妻がオタクで本当によかった。オタク同士だから、どうしてもゲームしたくなる気持ちがわかるし、協力して家事や用事をすませてゲームする時間を作ろうと思える。かつお互いを見ていると(家庭よりもゲームを優先するなど)そこまで踏み外しちゃダメだと節度もわかる」と話していた。

 そんな彼に「趣味が合うことで揉めることはないんですか?」と質問すると、「初めての夫婦喧嘩」というタイトルのメールを送ってくれた。

『昔、夫婦でWii版モンスターハンターGにハマったため、セーブデータを2つ作り、交替でプレイすることにしました。でも僕が帰宅後にプレイしようとしても、妻が「もうちょっと待って」と交替してくれない。

それが何日も続いたある日、妻に「2人でデータを共有してプレイしようよ」と提案したところ「私が集めた素材で勝手に武器とか作られるのは嫌だ」と拒絶され、僕の怒りは頂点に。

「いい加減にしろよ!キミは毎日何時間もゲームしてるじゃないか!仕事から帰った僕に3時間くらいゲームさせてくれたっていいだろう!!」と机を叩いて大激怒。これが15年の結婚生活で唯一、妻に声を荒げた瞬間でした』

 たかがゲームで…と思う人もいるだろうが、人にとって大切なものはそれぞれなのだ。

『妻と話し合って辿りついた解決策は、リビングにもう1台大型テレビを購入して、並べて配置すること。それぞれのテレビにWiiとキーボードを接続して、今では真横にいる妻にもチャットで話しかけるようになりました。それ以降、喧嘩することもなく平穏な日々を送っています』

 夫婦円満のカギは、ちゃんと話し合って解決する姿勢なのだろう。それにしても、一度しか喧嘩したことがないのはすごい。そうM氏に返信したところ、

『僕はゲームさえさせてもらっていれば満足なので、日々機嫌よく笑顔で過ごせるんです。エサさえ豊潤に食べさせておけば、ライオンだって人を襲わないのと同じです』

 同じなのか?とは思うものの、うちの夫も自分の好きなことをしていれば満足らしく、こちらが機嫌をとる必要もない。そういう面でもオタクと結婚してよかったと思う。

 相談者の蛇オタク氏もぜひ良いご縁に巡り合ってほしい。

 私はむしろ「蛇や虫が怖くて触れない」みたいな男とは結婚できない。私がパートナーに求めるものは、文明と秩序が失われ水や食料といった残された資源をめぐって争いが繰り返される最終戦争後の199X年に生き残れるサバイバル能力だからだ。

 夫と山に行くと素手で蛇を捕まるうえ、「蜘蛛はチョコレートの味がする」など豆知識も教えてくれる。

 また夫と出会った頃、『火垂るの墓』の話になり「神戸が舞台なんだから六甲山のイノシシを捕まえて食べればいいのにと思った」と話す夫に「幼い兄妹にイノシシの捕獲は無理では?」と言うと「イノシシは耳が急所だから石で狙えばいけるはずだ」と返されて、キュンとなった。

 そこでキュンとなるのは、私が『サバイバルゲーム』のベア・グリルス萌えだからだろう。

 ベア・グリルスは元英国特殊部隊(SAS)出身の冒険家で、世界中の秘境を巡り「ここでは貴重なタンパク源です」と言いながら、カタツムリを食べては「まるで巨大な鼻クソです」、イモムシを食べては「鼻クソで作ったソーセージのようです」と食レポをしてくれる。

 やはり男は変人でもいい、蛇の皮を剥いでパクパクいけるぐらい、たくましくあってほしい。

 そんなわけで、キン肉マンソルジャーのような姿でサバゲーに行く夫に「絶対その格好で街を歩くなよ、3分おきに職質されるぞ」と念押ししつつ「ご武運を!」と送り出す妻なのだった。

※2017年4月4日に「TOFUFU」で掲載しました。

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