「股間に葉っぱのみ」的なシンプルスタイル
「結婚式は挙げた方がいい、大勢の前でちゃんと宣誓した方が別れないから」
という言い伝えがあるが、実際はどうなんだろうか?
そもそも3組に1組の夫婦が離婚しているし、豪華な結婚式を挙げた後に離婚した夫婦も何組か知っている。
我が家の場合、結婚式どころか、結婚パーティーも親族の食事会も写真撮影も結婚指輪もなく、婚姻届けを出すのみですませた。
ファッションに喩えると「股間に葉っぱのみ」的なシンプルスタイルだが、結婚11年目を迎えて、一応今のところ離婚しそうな気配はない。
シンプルスタイルを選んだのは、夫婦共に「面倒くさい、そういうことに金と労力をかけたくない」で意見が一致したから。
そのへんの価値観が合っているから、離婚していないのかもしれない。
とはいえ、義母からは「本当にそれでいいの?」と心配された。
「教会でウェディングドレスを着たいとか、結婚式に憧れはないの?」と聞かれて「ありません」とスピードワゴン並みにクールに答えた私。
念のため、義母は息子にも「あんたも結婚式に興味はないのね?」と確認していたが、
夫「そうだなあ。ゾロアスター教(拝火教)のように火を焚いて、その周りを全員アダモちゃんの格好で踊り狂う儀式であればやってみたい」
アル「あ、それならいいかも」
という会話を聞いて以来、結婚式の話はしなくなった。
たしかに火とか焚いたら通報されて、パトカーと消防車が出動する騒ぎになり、結婚式当日に逮捕という記念日になりそうだ。
かくいう義母も、結婚式は挙げたけど離婚した組なので「まあ、別れる夫婦は何やったって別れるのよ」と基本クールな姿勢だった。
だが股間に葉っぱのみはシンプルすぎると思ったのか、「せめて婚約指輪だけでも」と言って、自分の持っているダイヤの指輪を私のサイズになおしてくれた。
その際、リングの裏側に文字が彫れるというので、「何でもいいけどな、キミは何がいい?」と夫に聞くと「不退転」と返ってきたので「じゃあそれで」と伝えたところ、日本語は彫れないという。
そこで夫の一番好きな英語「predator(プレデター)」と彫ってもらった。
ちなみに我が家には、家宝のプレデター君がいる(写真参照)
去年、我々は同じ区内で引っ越しをしたのだが、プレデター君は繊細な作りなので、自分たちで歩いて運ぼうという話になった。
アル「白昼堂々と運ぶと目立つし、闇夜に紛れて運ぼうか」
夫「闇夜にこれが現われたら、通行人がショック死するぞ」
たしかに「区内にプレデター出没!」と噂が広がり、パトカーと消防車が出動する騒ぎになるかもしれない。
そんなわけで毛布にくるんで運んだのだが、かなりの死体遺棄感が漂っていた。通報されなくて幸いだったと言えるだろう。