最強のさしすせそ
1人暮らしの高齢男性の調査で「自分は今幸せだ」と答えた人に共通するのは「会社であまり出世してないこと」なんだとか。滅私奉公で働いてこなかったぶん、仕事以外の友人関係や趣味があって、毎日が充実しているのだろう。
25歳の女友達が「うちの祖父、おばあさんみたいなおじいさんなんですよ」と話してくれた。
「フェミニン男子のはしりというか、家庭的で家事スキルが高くて、趣味は料理と植物を育てること。今は小さなアパートに1人で住んでますが、友達がたくさんいて、いつも誰かが誘いにきてます」
「男のプライドみたいなものが一切なくて、いつも穏やかで怒ってるところを見たことないです。自宅で祖母の介護をしていた時は、毎日車椅子を押して散歩してました。お金はなかったけど、祖母はきっと幸せだったと思います」
彼女の「大好きなおじいちゃんなので、長生きしてほしいです」という言葉にほろりときた。「マジで先に死んでほしい」みたいな話ばかり聞いているから。
一方、広告会社時代の女性の先輩からはこんな話を聞いた。
先輩「母が亡くなった後、父が1年もたたずに再婚したのよ、シルバー婚活で出会った10歳年下の女性と」
アル「マジですか?後妻業?」
というのも、彼女の父親は社会的ステイタスのあるお金持ちなのだ。
先輩「私も後妻業?とびびったし、せめて母の一回忌まで待てよと思った。でも父も寂しかったんだろうし、正直、世話してくれる人ができてよかったとも思ったんだけど…なんと半年で離婚したのよ」
アル「マジですか?なんでまた」
先輩「いざ一緒に暮らしたら、亭主関白で偉そうな父に耐えられなかったみたい。まあ後妻業の疑いは晴れたけど」
ちなみに映画『後妻業の女』では、エロカマキリこと鶴光師匠の演技が光っていた。
エロカマキリはさておき、昨今、シルバー婚活の話題をよく耳にする。
先日もTVでシルバー婚活会社のカウンセラーが、シニア女性に向けて以下のアドバイスをしていた。
「シニア女性は座ってる間に脚が開いてくるので、足首をクロスして横に流しましょう」
「男性に好かれるポイントは、笑顔・優しさ・料理上手・相手の言葉を否定しないこと」
「さしすせそを活用しましょう(さすがですね・知らなかった・すご~い・センスいい・そうなんですか~)」
「プロフィール写真ではバストを強調しましょう。デートではボディタッチが効果的」
それを見て「ババアになってまでこんなことしなきゃダメなら、死んだ方がマシだ」と思った。ジジイにさしすせそを使うぐらいなら、無縁仏に俺はなる!
ちなみに担当アサシン嬢の「俺の考えた最強のさしすせそ」は「さあ?・知らね・すご~い私・センスやばいw・そうか?」らしいので、こちらはぜひ使っていきたい。
夫に「私が先に死んだら再婚するか?」と聞くと「面倒くさいから多分しない」とのこと。
彼は昔「結婚してよかったのは、二度と恋愛なんかしなくてすむことだ」「婚活パーティーに参加するぐらいなら、アルカトラズ刑務所に入った方がマシだ」と言っていたので、おそらく本心だろう。
私も夫以外の男と暮らせる気がしないので、再婚よりもデンデラ希望だ。また、老後はババア向けのオンラインサロンをしたいと夢見ている。
みんなでチャットやオフ会をしたら楽しそうだし、仏像彫刻や写経ツアーなどのイベントも企画したい。「丸一日ログインしていなければ安否確認する」といった、オンライン互助会的な機能もあれば安心だ。
「あなたは絵が上手だから、棺桶にイラストを描いてよ」「葬式前のヒューネラルエステなら任せて!」など、それぞれが得意分野を発揮できるとさらにいい。
人生100年時代、老後の不安に怯えて生きるには長すぎる。私はババアになってからが本番だと思って、明るい老後計画を考えたい。
全国のババア予備軍の皆さまからも、アイデアをお待ちしております。
※2018年4月17日に「TOFUFU」で掲載しました
Text/アルテイシア
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