タイムマシンの質問
タラレバ娘の中に、タイムマシンで10年後の主人公たちが現われて「残念な未来でごめんね。私達、毎週3人で日帰りバスツアーで千葉とか行ってるの。もう、それしか楽しみがないの。だから、いま頑張って。東京オリンピックまでにどうにか一生のパートナーを見つけてくれなきゃ。お願い、私達の未来を変えて」と訴える場面がある。
私は女友達3人でJJツアーによく出かけていて、来週末も日帰りで京都に行く。
私以外の2人は独身なのだが、彼女らに「もしタイムマシンで戻れたら、過去の自分に何て言う?」と質問してみた。
友人①の回答は「何も言わない」。
友人①「べつに結婚はしなくていいけど、パートナーはいてもいいかも?とは思う。ただそれを過去の自分に言ったところで『それを探すのが面倒くさい』『だよな』って会話になるだろうし、だって自分だから。なので何も言わずに帰る」
アル「ほな行く必要ないわね」
友人②の回答は「もう少しの辛抱だと言う」。
友人②「自分は今の生活が向いてて楽しいから、無理して結婚する必要なかったと思う。ただアラサー時代は『今はよくても将来寂しい』『若いうちに婚活を頑張れ』と説教されるのが一番のストレスだった。でも40過ぎるとほっといてくれるから、もう少しの辛抱だと言う」
年頃の女を見ると、説教せずにいられない人々がいる。そういう人々は「(結婚を選んだ)自分は正しい」と思いたくて、独身で幸せそうな他人を見ると不安になるから、呪いをかけずにいられないのだろう。
「女は結婚出産して一人前」という呪いとセットなのが「男は働いて家族を養って一人前」という呪いだ。
前々回のコラムで「家事や育児が得意な男性もいれば、働いて稼ぐのが得意な女性もいる。男・女にカテゴライズせず、それぞれが得意分野で能力を発揮すればいい。そうすれば、みんなが生きやすい世の中になるはずだ」と書いた。
21世紀は多様性を認めようという時代だ。だがいまだに、専業主夫の男性を「ヒモ」と呼ぶような価値観も残っている。そんな古ぼけた価値観こそ修正されるべきだ。
我々の親世代はジェンダーバイアスがさらに強力で、「出世は男の本懐」「浮気は男の甲斐性」などと言われていた。
バリバリ稼いで愛人も持てるぐらいになってこそ「男」という呪い。うちの父もその呪いにかかっていた1人だろう。
結果、家族は崩壊して、私は父と絶縁した。父は今68歳で1人暮らしをしているようだが、私はどこに住んでいるかも知らない。