積み重ねてきた夫婦の成功体験を今後の糧にしよう
……とまあ、ここまでは金銭的な不安と産後の大変さを軽減する手段について提案させていただきましたが、相談文を読む限り、おそらくあなたはそれらよりも旦那さんとの関係が変化することに一番の不安を感じているのではないかな、と受け取ったのですがいかがでしょうか。
その感情にこそ、わたしはとても共感できるのです。
今は超ラブラブで仲良いだけれど、それは子供がいないから上手くいっているのでは?! って考えてしまいますよね。
経済的な不安や自分の生い立ち、健康上の理由以外にも、「今の関係性が自分たちにとってのベストだから」という理由で子供を持たないという選択をする人もいるでしょう。
子供を持つ/持たないは各々の自由ですから、当事者が納得しているのであれば外野が口を出す筋合いはないのですが、女性にはどうしてもタイムリミットがありますし、子供欲しい! 作ろう! と思ったとしてもスムーズにいくとは限りません。
なぜなら、妊娠も出産も奇跡の連続ですから。
だから、少しでも子供がほしいという気持ちがあるのであれば、先延ばしをせずに今の段階できちんと向き合うべきだと思います。
その結果によっては自分の選択に後悔することもあるかもしれませんが、「夫婦で一生懸命考えたんだ」という事実さえあれば、少なくとも向き合わなかった過去に対する後悔をゼロにすることはできます。
子供ができても絶対に大丈夫だよ! 旦那さんとの関係性は今と変わらないよ! と無責任なことはどうしても言えないのですが……。
そもそも関係性がずっと変わらないなんて無理な話なんです。
でも、関係性が変わることは必ずしも悪い方向ばかりではなく、よりよい方向にいくことだってあると思います。
父と母になるために、これまでの恋人・夫婦の関係性がなくなってしまうわけではなく、恋人や夫婦という関係に、父と母、子育てチームという新たな関係性をプラスすることだってできるのです。
おそらく、あなたと旦那さんは今に至るまでも、お付き合いする前の友達から恋人に、恋人から夫婦に、と関係性の変化があったはずです。
もちろん、特に意識せずとも自然と変化していった部分が大半だとは思いますが、それでも要所要所で「この人となら大丈夫」「わたしに寄り添ってくれる人だな」「お互いに頼ったり頼られたりして心地よいな」と思えたからこそ一歩踏み出したこともあるのではないでしょうか。
そういった、これまでの成功体験や実績を思い出して、今後の糧とすることも大事ですよ。
妊娠も、出産も、子育ても、あなた一人で抱えない
ひとつ気になったのですが、相談文に書いてくださった不安や寂しさは、あなた一人きりで抱えているのでしょうか。
もしそうなのであれば、絶対に旦那さんと共有してほしいと思います。
妊娠も、出産も、子育ても、あなた一人でやることではありません。
「関係性が変わってしまうのが寂しい」「こういう事態に陥ったときに、仲が悪くなってしまったらどうしようって不安なんだ」といった風に、全て包み隠さずぶちまけて、「じゃあどうしたらお互いに幸せを感じられる家族になれるんだろう」と2人で考えて、何度も話し合って、具体的な対策を挙げてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
当然、その通りに乗り越えられるとは限りません。先でもお話ししましたが、不測の事態が起こるかもしれませんし、いざ子供を産んでみたらその大変さは想像の遥か上をいくかもしれません。実際に出産してみないとわからなことは多々あるでしょう。
でも、そうやった話し合った時間は決して無駄になりません。
「あのとき、自分と同じだけ悩んでくれたな」「わたしの話に耳を傾けて寄り添ってくれる人だから、今回も大丈夫なはず」と、未来のお守りになるはずですよ。
「覚悟」はやるしかない状況になって初めて腹を括ること
相談文の中で、あなたは何度か「覚悟」という言葉をつかわれていました。
よし! 覚悟ができた! それじゃあ今から行動に移すぞ! というのは、果たしてほんとうに覚悟と言えるのでしょうか。
そりゃあ準備万端かつ用意周到に妊娠・出産に臨めたら願ったり叶ったりですが、覚悟を決めるための想像をするのにも限界があります。
覚悟って、もうやるしかない状況になって初めて腹を括ることなんじゃないかな、とわたしは思うのです。
前半でお話しをしたように、金銭面や出産後の生活を考えての事前準備はしておいたほうがいいとは思いますが、覚悟だなんて仰々しいものを掲げるよりも、今の不安を一つひとつつぶしていくこと、そして不安がある中でも頑張ろうと思える相手と一緒に人生を送ることのほうがずっと大事なのではないでしょうか。
わたしだって「子供を持つ覚悟はある?」と聞かれたら、「もちろんあります!」なんて自信満々に言えません。
でも、もし子供ができたらめちゃくちゃ一生懸命育てるぞ~~~~~!!!! とは思っています。
何も考えていないとか、誰かが助けてくれるだろうって他力本願になっているわけではなく、「なんとかなるだろう、なんとかしてやろう、やってやろうじゃないの!」という気持ちなんです。
これまでの人生で乗り越えてきた様々なこと、夫の人となりとわたしに対する思いやり、先人たちのアドバイス、家族や友達のやさしさなど、これまでの経験や自分と周囲の人に対する信頼を一つひとつ積み上げていって、そう思うようにしています。
「産んだことないからわからないだろ!」と言われたらぐうの音も出ないのですが、でもそんな風に自分と自分の愛する人を信じることは、妊娠や出産に限らず、なにか新しいことが始まるときにとても大切ではないでしょうか。
捉え方によっては無責任だと感じてしまうかもしれませんが、今一生懸命に悩んでいる時間はあとからあなたを助けてくれるんだ、ということは胸に留めておいてほしいと思います。
Text/ものすごい愛
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