別れてしまう間取り
AM 逆に2人の関係が危うくなりそうなNG間取りなどありますか?
土谷 別れる要素はいくつかあると思いますが、恋愛に必要なのは2人の間の距離と、逃げ場を作ることだと思います。監視したり、追いかけたり、プライバシーの排除によってどちらかの居心地がとても悪くなってしまう。全部が可視化されて、透明化されてしまったら居心地が悪いし、第一面白くない。
AM おっしゃる通りすべてが相手に見られる部屋を想像すると、1人になれる空間をどうしても求めてしまいそうですね。
土谷 LDKが一つになっているとそういう部分でも別れる要因になるんじゃないかと思うのは、大抵のLDKは段差も隙間も目隠しも何もない。視線が常に合ってしまい、お互いが監視し監視される状態。その上寝室も一緒だったら、2人の関係に「余力」がなくなってしまう。
気配は感じられて、部屋にいるのはわかるんだけれど、でも見えない。同じ空間にいるけれども、視線は合わない。そのくらいが恋愛にはちょうどいい。とすると、部屋に上下の段差がついていたり、ちょっとした仕切りがあったりすることがいいんじゃないかと。
自分たちに一番大切なものを強調する
土谷 「2人の生活」にとって一番大事にしたいものが何かを考えることも効果的ですよね。料理が大事なら、キッチンを部屋の中心にしたり、バスタイムが大事なら、極端な話お風呂を部屋の真ん中に置いてもいい。
AM お部屋の中心にお風呂!? リノベーションしていいお部屋ならできると思いますが、それもまた難しいかもしれません(笑)。でも、賃貸のお部屋探しでも、路線や土地で選ぶより、何が大事なのかを最優先に考えることもカップルには必要なのかも……。間取りも昔の画一的なものではなく、面白いもの、ユニークなものなどバリエーションも増えていますし。
土谷 最近はリノベーション可の賃貸マンションも増えていますよ。「恋をすること」は、「暮らすこと」。生活は他人に委ねてはいけない。それは2人の、そして自分の生活であり人生だから。2人がどうやって毎日を暮らしていくかを一緒に考えられてこそ、恋も生活もあるのだと思います。