女性だけではなく、恋愛不器用な男性にも共感を生む
アラフォー女性の焦燥感や劣等感が赤裸々に映し出されて、どこか他人事とは思えなくさせる。このシリーズが一貫して描くのは、仕事はデキるのに恋愛は上手くいかない。人の心はそう簡単に操れない。そこで生まれる共感性だろう。
ブリジットはテレビ局の敏腕プロデューサー。マークは世界を股にかける一流弁護士。ジャックはお見合いサイトの創設で大成功したセレブ実業家。それなのに全員が思い通りにいかない。まるで自分を見ているかのような、女性に限らず男性も等身大のキャラクターが描かれている。
特にマークのド天然ぶりがたまらない。ブリジットへの愛情が不器用すぎて、いつも子どもじみている。最高と最低を常に持ち合わせている。ブリジットだけではなく、男性にとってもマークとジャックは共感できる点が多い。
いくつになっても大事にされたい。自分のことで争ってほしくない。と言いつつも、正直イケメン二人が「俺が父親だ!」と言い合うのは見ていて気分がいい。プレゼント、お姫様抱っこ、お金持ち。女性にとってあらゆる幸福の条件が整うブリジットでも、嫌味に聞こえない。それは等身大であるが故に、まるで自分を見ているような気分で見ている人にとって最大のエールになるからだろう。
主人公と一緒に歳をとっていく感覚が味わえる。日記がノートからiPadに変わり、年齢は32歳から43歳になる。 この11年間、誰とどのように恋をして、今はどうなっているか。ブリジットを見ることで、自らの日記を振り返ることになるはずです。
ストーリー
テレビ局のプロデューサーとして仕事に打ち込むブリジット(レニー・ゼルウィガー)もついにアラフォーに。
かつて愛した男・ダニエル(ヒュー・グラント)が事故で他界し、その葬儀で元恋人・マーク(コリン・ファース)と再会する。離婚協議中の彼と一夜を共にする一方、音楽フェスで出会ったセクシーな男・ジャック(パトリック・デンプシー)とも一夜を過ごす。
二人の間で揺れ動くブリジットだが、彼女の人生にとって大きな出来事が訪れる。ついに妊娠! だが、ブリシットは頭を抱える。子どもの父親はマークか、ジャックか――。
10月29日(土)、全国ロードショー
監督:シャロン・マグワイア
キャスト:レニー・ゼルウィガー、コリン・ファース、パトリック・デンプシー、ジム・ブロードベント、エマ・トンプソン
配給:東宝東和
原題:BRIDGET JONES’S BABY/2016年/イギリス映画/123分
Text/たけうちんぐ
次回は<思春期は戦場だ!少女の自意識が一人の少年の魅力で壊されるとき『溺れるナイフ』>です。
東京でモデルをしていた少女・夏芽は、父親の故郷である田舎町に引っ越すことに。求めているものが何もない田舎の生活にがっかりする夏芽だが、不思議な魅力を持つ少年・航一郎に出会い心を奪われていく——。小松菜奈×菅田将暉で刹那を切り取る、“少女映画”監督・山戸結希監督最新作。
- 1
- 2